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[ニュース分析]2008年の金融危機より深刻化するか

登録:2020-03-30 01:21 修正:2020-03-30 15:11
グラフィック=キム・スンミ//ハンギョレ新聞社
イ・ジョンウ・コラムニスト//ハンギョレ新聞社

 人は過去よりも現在に重きを置く。だから、今起きていることは以前起こったどんな出来事よりも深刻だと考える。

 今と2008年の金融危機を比較してみよう。2008年9月15日、リーマン・ブラザーズが破産した。直ちに開かれた対策会議で米国の財務長官は、9月20日までに議会が行動しなければ5兆5000億ドルが消えてしまい、その後24時間以内に世界経済が崩壊すると警告した。連邦準備制度理事会(FRB)のベン・バーナンキ議長も議会の聴聞会で、「数日以内に対策を立てなければ、米国から『経済』という単語が消える」と述べた。今はまだこのような過激な言葉は出ていない。

ナスダックの下落推移の比較=資料:ブルームバーグ//ハンギョレ新聞社 

 先進国の国民が被った資産の損失は金融危機の時の方がはるかに大きかった。金融危機が発生してわずか6カ月で、米国の家計の財産が11兆ドル減った。このような状況はその後も続き、2012年の損失額は19兆2千億ドルに増えた。不動産から7兆ドル、株式から11兆ドルが消え去ったが、その中には4兆ドルの退職年金が含まれていた。米国民の立場からすれば、現在はもとより未来すら期待できない状態になったのだ。危機が不動産から始まったため、住宅価格の下落は特に大きかった。状況が最も悪かった時、モーゲージ融資のうち10%が利子を支払えず、4.5%が差し押さえにあった。

 米国だけが悪かったわけではない。英国でも株式と不動産を合わせて1兆5千億ドルの個人の財産が消えた。英国の国内総生産(GDP)の半分に当たる額だ。英国も不動産の不良債権化に悩まされているのは同じで、住宅全体の10%が住宅を売っても融資を返済できない状態になった。金融危機の影響を最も多く受けたのはスペインとアイルランドだった。スペインは金融危機以降の3年で家計資産の4分の1が消え、アイルランドは住宅価格が半分に下がった。

 金融危機の影響は実体経済にも現れた。2009年に輸出入規模が前年より減少した国は100カ国を超え、原油価格は76%下落した。米国では月平均失業者が80万人ずつ増加し、2010年1月には若者世代の失業率が32.5%にまで上昇した。自動車販売は2007年の1600万台から2009年には900万台へと減少した。

 最近、米国の株式市場は3週間で30%以上下落した。金融危機が発生した2008年9月の3週間で33.1%下落したのと似た数値だ。下落が大きかっただけに、そろそろ底に到達する時期ではないかと思われる。悲観的に見る人は、新型コロナの影響で第2四半期の米経済成長率はマイナス30%にまで下がると予想している。疾病により人間の活動が停止するという、過去には経験のないことが起きているだけに、このような展望が出るのは当然だ。金融危機の際には危機以前から株価が下落していたのに対し、今は史上最高値で事態が起き、衝撃が大きくならざるを得ないことも頷ける。このような点をすべて考慮しても、株価は短期間で下がりすぎた。長い目で考えると、株を買えない理由はない。少なくとも、今の状況は2008年の金融危機よりは良好だからだ。

イ・ジョンウ コラムニスト(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/finance/934697.html韓国語原文入力:2020-03-29 17:53
訳D.K

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