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韓国政府、失業手当もらえない無給休職・特雇労働者に月50万ウォンを2カ月間支援

登録:2020-03-31 06:39 修正:2020-03-31 08:20

[雇用セーフティネット死角地帯支援対策] 
 
運転代行・学習誌教師など20万人 
来月2カ月間「生活安定支援金」 
緊急災害支援金と重複受領可能 
 
就業成功パッケージなど求職促進手当の要件を緩和 
事業中止された高齢者雇用、給料を前払い 
求職青年支援金の受給制限も引き下げる 
 
専門家「労働脆弱階層への支援は肯定的 
期間・対象者を拡大するなど積極的な行政が必要」

今月23日、ソウル東大門区のフィットネスクラブに、政府の政策に基づいて休業するという案内文が貼られている//ハンギョレ新聞社

 韓国政府が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による雇用難の中、雇用セーフティネットの死角地帯に置かれた無給休業・休職労働者と特殊形態労働従事者、フリーランスなど社会的脆弱階層20万人に、4月から2カ月間、月50万ウォン(約4万4千円)の緊急生活安定支援金を支給する。生計支援対策のさらなる強化と言えるものの、“隙間”を埋めるには依然として不十分という声もあがっている。

 イ・ジェガプ雇用労働部長官は30日、「COVID-19で仕事がなくなった特殊形態労働者や建設日雇い労働者、就業市場の萎縮で求職に困難を強いられている若者など、従来の雇用セーフティネットの外にある脆弱階層はもっと大きな困難に直面している」とし、脆弱階層約50万人を対象にした生計支援追加対策を発表した。まず政府は休業・休職手当てや失業手当などをもらえない無給休業・休職労働者10万人と、特殊形態労働従事者・フリーランス10万人に来月から最長2カ月間、月50万ウォンの生活安定支援金を支給することにした。休業は事業主の必要に応じて行うものであるが、5人未満の事業所は休業手当を支給する義務がない。また、休職手当は労働者が要求した休職に伴う手当であるため、法的な根拠がない。経済的に厳しい事業場の労働者ほど、自分の意思であれ他意であれ、仕事を休む場合、生計費を補填する道が塞がれてしまうということだ。無給休業・休職は届け出が義務付けられていないため、正確な規模を推算するのは難しい。政府は50人未満の事業所の労働者を支援対象にするよう地方自治体に案内したが、具体的な支援対象は地域ごとに変わる可能性もある。最大200万人規模と推定される特殊形態労働従事者などは、大半が雇用保険に加入しておらず、失業手当を受け取れない。このうち優先支援対象は、運転代行・貸し切りバス運転手など運送業▽学習誌教師、文化センター講師など教育業▽芸術家・公演スタッフなど芸術・公演業など、COVID-19で打撃を受けた業種の従事者だ。生活安定支援金は所得下位70%世帯に100万ウォン(約8万8千円)支給する緊急災難支援金と重複受領が可能だ。補正予算では「地域雇用対応など特別支援事業」として確保した2千億ウォン(約180億円)のうち、少なくとも1800億ウォン(約160億円)がこれに使われる。

 生活安定支援金を受け取った後も無給休業・休職状態が続き、生計の維持に困難をきたす労働者は緊急福祉支援金を追加で申請できる。政府は関連規定を改め、現在の中位所得75%以下の低所得層を対象とした緊急福祉支援の対象を無給休業・休職労働者や特殊形態労働従事者などにまで拡大し、約5万人を支援することにした。緊急福祉支援金は1人世帯月45万5千ウォン(約4万円)、4人世帯月123万ウォン(約11万円)など世帯人数によって差をつけて支給される。

 賃金労働者中心の就業支援プログラムである「就業成功パッケージ」は、COVID-19で生計を脅かされる特殊形態労働従事者とフリーランスに拡大される。政府は就業成功パッケージ参加者の生計安定のために支給する求職促進手当(月50万ウォン、3カ月)の支給条件を緩和し、特殊形態労働従事者とフリーランス1万6000人にも支給する計画だ。このため、フリーランスの顧客確保のための営業活動や専門性の向上に向けた教育の履修なども求職活動の一つとして幅広く認めることにした。

 そのほか、「社会的に距離を置く」指針に従って仕事を休むことになった高齢者と求職活動に困難を強いられている若者のための対策も打ち出された。先月末、防疫当局の勧告で事業が中断された公益活動型老人雇用参加者(54万3千人)には、仕事をしない3月の活動費全額(27万ウォン、月30時間勤務基準)を来月初めに前払いする案が進められている。若者の求職者(5万人)は現在、青年求職活動支援金(月50万ウォン)の受給が終わった後、6カ月以内の連続参加が制限されていた就業成功パッケージが連続で参加できるように変更され、支援金受給が終わった後、すぐ就職できなくても空白期間なしに生計費の支援を受けられるようになった。

 ノ・グァンピョ韓国労働社会研究所所長は「これまで労働権の死角地帯にいた特殊形態労働従事者とフリーランスを支援することにしたのは肯定的だが、その支援対象や予算が少なすぎる」とし、「月50万ウォンを支給するなら、最低期間を3~4カ月に延長するか、対象者を拡大するなどの積極的な行政が必要だ」と指摘した。韓国労働研究院のイ・ビョンヒ先任研究委員は「今回の支援策を契機にフリーランスなどの包括的な雇用セーフティネットを構築するには専門性が必要だが、こうした支援を雇用福祉プラスセンターではなく、自治体が行うようにしたのが効果的なのかは疑問だ」と述べた。

ソン・ダムン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/934940.html韓国語原文入力:2020-03-31 02:41
訳H.J

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