韓国の文化放送(MBC)は31日、総合編成チャンネル「チャンネルA」の法曹チームの記者がユン・ソクヨル検察総長の側近の検事長との親交を掲げて、ある収監者から盧武鉉(ノ・ムヒョン)財団のユ・シミン理事長の不正を探り出そうとしたという疑惑を報道した。報道によると、チャンネルAの記者は、不法投資の容疑で収監中の元新羅ジェン(SillaJen)大株主のイ・チョル氏に近づき、「検察が家族の財産までホコリ一つまではたいて全てを奪う可能性がある」とし、「ユ・シミンを撃てば検察も喜ぶだろう」と話した。深刻な取材倫理違反だ。また、マスコミと検察の癒着も疑わざるを得ない。
新羅ジェンは肝臓癌治療剤の開発を好材料に一時コスダックの時価総額2位にまで上がった会社だが、最近は役員が未公開情報利用の疑いで捜査を受けている。ユ理事長を始めとする与党側の主要人物が関わっているという未確認の主張も出回った。
チャンネルAの記者の取材態度は、一言でいうとジャーナリストの基本倫理を破ったものだ。苦境に立たされた取材源を圧迫して懐柔し、情報を探り出そうとして偽りの録音記録まで読みあげて検事長との親交を作り上げたのは、単なる取材倫理違反を越えて犯罪行為に近い。また、取材と報道の目的は、ひたすら公益のためのものでなければならないのに、チャンネルAの記者はユ・シミン理事長を攻撃するために取材をした。メディアの存在理由を自ら否定したのだ。
チャンネルAは最近、放送通信委員会の再承認審査で放送の公的責任と公正性の強化案を確認する必要があり、再承認が保留された。今回の件により公的責任を忘却したことがさらに一つ追加された。チャンネルAは取材した内容を報道しなかったので放送通信審議委員会の審議対象ではないとは言うが、そのまま玉虫色で済ましては絶対にならないことだ。チャンネルAは「取材方法に問題があったのか真相を調査し、調査結果と内部規定により措置を取る予定」と明らかにした。事実をありのまま明らかにして、相応の責任を取ってほしい。
報道で取り上げられた検事長は疑惑を全面否認しているが、チャンネルAと検察の癒着疑惑は相変わらず残っている。チャンネルAの記者が取材源に録音記録を示して、捜査機関でなければ知り得ない捜査進行状況を教えたという点を考えると、検察内の他の要人が関わった可能性を排除できない。チュ・ミエ法務部長官は1日、この件について「深刻に見ている」とし、調査の必要性を明らかにした。法務部が監察を通じて一点の疑惑も残らないよう、真相を徹底的に究明しなければならない。