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[社説]防衛費交渉、「休職圧力」ではなく「合理的な妥結」に向けた努力を

登録:2020-01-30 02:07 修正:2020-01-30 07:25
韓米防衛費分担金交渉の米国側首席代表ジェームス・ディハート氏が2019年11月19日、ソウル龍山区南営洞の米国大使館広報課で交渉結果の発表を終え、会見場を後にしようとしている//ハンギョレ新聞社

 在韓米軍が28日、防衛費分担金交渉が妥結していないため、4月から無給休職が実施される可能性があると韓国人職員たちに通告した。米軍は、無給休職を実施する場合その60日前に事前通告しなければならないという米国の法律に従った処置だと説明した。しかし、韓米間の交渉が難航している微妙な時期に公開で通告したところを見ると、交渉を有利に進めようとする圧力の性格が濃く、非常に遺憾である。

 韓国人職員9千人あまりの人件費は大半が防衛費分担金から支給される。したがって交渉が妥結せずに協定の空白状態が長引けば、韓国人職員の人件費支給が難しくなるという論理は一見妥当に見える。しかし、本来は昨年末までに終えなければならなかった交渉が年が明けても妥結していないのは、米政府の過度な分担金増額要求のためだという事実を差し置いて無給休職を云々するのは、正々堂々とした態度とは言えない。

 米国の要求額は当初の50億ドル(約6兆ウォン)から多少減額されたと伝えられているが、依然として度を超した引き上げを要求しているその立場には変わりがない。先日、米国の国務、国防の両長官がメディアへの共同寄稿で「韓国は扶養対象ではなく同盟国」と述べ、露骨に増額を迫った。韓米間の実務交渉でも米代表団は、防衛費分担金の趣旨が「在韓米軍の駐留を支援するためのもの」という事実には背を向けたまま、これと無関係な循環配置費用や訓練、装備費用などのいわゆる「対応態勢費用」を出せと、依然として強く要求しているという。米政府と米軍は交渉妥結の遅延を口実として韓国人職員に無給休暇を強制する前に、まずこのような無理な増額要求をやめ、合理的な水準で妥結できるよう努力することだ。

 過度な増額圧力は米国内でも批判を受けているということを、ドナルド・トランプ政権は重く受け止めるべきである。上院の民主党外交委員会幹事と軍事委員会幹事は28日に公開書簡で「分担金に対する執着は、韓米同盟の価値などに対する根本的錯覚を示すもの」と指摘した。下院聴聞会でも「交渉が同盟の価値ではなく、在韓米軍駐留費用にのみ焦点を当てているようで心配だ」との批判がなされた。

 防衛費分担金交渉が妥結されず協定の空白状態が長引くことは、韓米いずれにとっても得にならない。手遅れになる前に、トランプ政権は互いに受け入れ可能な合理的かつ現実的な妥協案を示すべきである。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/926109.html韓国語原文入力:2020-01-29 18:47
訳D.K

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