本文に移動

[社説]新年は「共に良い暮らしの社会」へ

登録:2019-01-01 08:25 修正:2019-01-02 07:53
3年目の文政権の成否は市民生活にかかる
2018年最後の首席補佐官会議で発言する文在寅大統領=31日午後/大統領府代表撮影//ハンギョレ新聞社

 新年の朝、国の未来を祈る心はいつにもまして切実だ。今年一年は今後20~30年の国の運命を分ける重大な時期であることは間違いない。新年には「共に良い暮らしをする社会」に向かう足取りを確かにして、平和と繁栄の朝鮮半島の未来を確固とする実を結ばねばならない。今年は二つの課題の成否を分ける決定的時期に当たる。

 3年目をむかえた文在寅(ムン・ジェイン)政権の将来も今年一年の成果にかかっているといっても過言ではない。新年に入る文政府の足取りは極めて重い。31日に発表された世論調査(リアルメーター)で文大統領の支持率は45.9%で、就任以来の最低値になった。昨年上半期に最高77.4%まで記録したことに較べれば、非常に速い下落傾向だ。支持率低下が自然なものではあるものの、新年には反転の契機を作るよう願う。

 何より民生で明確な成果を出さなければならないだろう。昨年は雇用不振と所得分配の悪化などで、国民が肌で感じる苦労はかつてなく大きかった。市民生活を生かすことに政策を集中しなければならない。積極的な財政政策を通じて民間投資や消費を呼び起こし、経済的弱者のための社会セーフティネットを大幅に拡充しなければならない。特に最低賃金引き上げが軟着陸できるよう、零細企業や自営業者の支援対策をスムーズに進めなければならない。

 景気の活性化を理由に経済改革を後回しにすることはあってはならない。経済活力の向上と経済改革は相反しない。二つの課題はコインの両面のようなものだ。経済の民主化は「財閥中心経済」のために低成長と両極化の沼に落ちた私たちの経済に活力を吹き込むことだ。不公正な市場秩序を正して大企業独占の構造を破り、中堅・中小企業が正当な報償を受けるようにしてこそ持続可能な成長ができる。

 我々の経済をめぐる内外の条件は、新年にはさらに悪くなるという予想が多い。経済の活力向上と経済改革という2匹のウサギを同時に捉えるような覚悟が要求される。これ以上経済チーム内の不協和音で政策推進の動力を失ったり、国民の信頼を落としたりしてはならない。新年には南北関係から今後20年、30年さらには百年の土台を用意するという覚悟で大胆に挑むことを願う。文大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が3度目の南北首脳会談で朝鮮半島の冷戦構造解体の土台を用意したとすれば、今年は数十年続く平和・繁栄の共存の枠組みを作らねばならない。そのためには金委員長のソウル答礼訪問が早い時期になされることが大変重要だ。

 また、北朝鮮の非核化でも決定的進展を成し遂げなければならない。北朝鮮も米国も時間はそれほど多くない。昨年6月のシンガポールでの朝米首脳会談以後、両国は神経戦ばかり行って時間を浪費してきた。今年中に名実共に非核化の進展がない場合、朝鮮半島の平和を担保するのは難しい。北朝鮮と米国は相互信頼を基に、確実かつ根気よく接近しなければならない。金委員長とトランプ大統領の決断を改めて求めたい。文大統領も韓米同盟を確固たるものにし、周辺の強大国との善隣友好を基に朝鮮半島の“運転手”の役割に積極的に取り組まねばならない。

 来年の総選挙を控えて選挙制度の改編をはじめとする政治改革も重要な懸案だ。昨年末の連動型比例代表制の検討合意を基に、与野党が選挙制度の改編をすませ、2020年4月の総選挙が政治跳躍の契機になるようにしなければならない。共に民主党と自由韓国党という二つの巨大政党は、既得権にこだわる旧態から抜け出さなければならない。選挙制度の改編をへて今年中に権力構造改編のための改憲議論も前向きに検討する必要がある。特別な進展がない国家情報院や検察などの権力機関・司法機関の改革も急ぐべきだ。

 南北関係と経済活性化、改革立法の進展のためには、与野党の協力政治が必須だ。何より文大統領が野党に手を差し出して対話と協力の政治を導くように願う。活発な与野党政府協議体の運営などを通して「対話政治」を最大値に引き上げねばならない。野党も政府・与党に協力すべきことがあるはずだ。野党が改革にことごとく反対する「守旧保守」の道を進むなら、自ら国民にそっぽを向かれる事態を招くだろう。文大統領は3年目をむかえて大統領府と政府の改編を積極的に検討する必要がある。2年近く執権して、「国政推進力」が大きく落ちただけに、適当な時期に大統領府と内閣に斬新で経綸のある人物を広く抜擢し、国政の動力を刷新しなければならない。

 2年前のこの時期に燃え上がったろうそくデモの灯が、元旦に思い起こされる。国家といえる国にしてほしいという要求に、これまでどの程度応えられたのか、国民は問うている。文政権のスタート以後あまねく熱心に努力はしたが、成果は不十分だった面が少なくない。大変で難しいときほど初心に帰るべきである。反則と特権のない正しい社会を作ってほしいというあの時の叫びをもう一度胸に刻もう。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/876447.html韓国語原文入力:2018/12/31 19:44
訳T.W

関連記事