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[寄稿]朝米デタントの真の障害物

登録:2018-06-03 23:14 修正:2018-06-04 07:24
ジョン・フェッファー米国外交政策フォーカス所長//ハンギョレ新聞社

 ジョン・ボルトン米ホワイトハウス国家安保補佐官が、リビア事例に言及して北朝鮮に否定的な信号を送ることにより、朝米首脳会談をやめさせようとしたようだ。だが、ボルトンが平和の真の障害物ではない。朝米間の冷戦はほとんど70年間続いてきたが、ボルトンはたかだか数週間、その席にいただけだ。彼は、ドナルド・トランプ行政府に合流する前にも韓国問題に特に影響力のある人物ではなかった。

 ボルトンではないならば、平和の真の障害は誰であろうか。ワシントンから出る返事は当然北朝鮮だ。米国の専門家たちがその間の交渉失敗の責任を北朝鮮に押しつけたり、また米国を絶えず悪魔化しているという言い方で北朝鮮を非難する言葉はよく聞かれる。彼らは、北朝鮮が米国とのデタントを決して受け入れないと主張する。北朝鮮が自分たちの統治下に朝鮮半島を統一させる夢を放棄しないという根拠からだ。

 だが北朝鮮は、米国との交渉を本当に望んでいる。北朝鮮は米国を国際社会に進出するための関門と考えている。また北朝鮮は、米国の専門知識と製品も高く評価する。そのうえ北朝鮮は、中国、韓国、日本に過度に依存的になることを恐れる。北朝鮮の立場から見れば、地理的に遠い覇権国家米国との取引は、致命的な依存関係になりかねない隣の強大国との取引より一層興味をそそることだ。

 朝米間の平和の真の障害物は何かという質問に、進歩陣営から出る共通の返事は米国の軍産複合体だというものだ。しかし、これもまた事実ではない。北朝鮮は、核兵器プログラムを保有しているものの、人口がかろうじて2500万人に過ぎず、在来式軍事力も量的・質的に少ない。このような北朝鮮は、米国にとって相対的に小さな軍事的脅威だ。また、韓国は北朝鮮に反撃できる能力以上の途方もない火力を保有している。

 実際、軍産複合体が資金調達のために特定の脅威を必要としているわけではない。トランプ大統領は就任以後、国防総省の予算を23%増やした。そのうえ、防衛産業関連企業がテロ以外の脅威を騒ぐ必要があるならば、それは北朝鮮ではなく中国になるだろう.

 朝米間の平和の真の障害物はもう明らかになった。ワシントンの外交政策既得権層だ。彼らは対北朝鮮交渉の有用性に非常に懐疑的だ。ダン・コーツ国家情報長官は上院軍事委員会の聴聞会で「過去のすべての努力は失敗し、北朝鮮が望むことを達成できる時間を与えただけだ」と主張した。

 ボブ・コーカー上院外交委員会委員長も、金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長の非核化の約束をきわめて慎重に懐疑的に見るべきだと主張する。外交政策既得権層の北朝鮮とのデタントに対する懐疑主義は、バラク・オバマ行政府の対北朝鮮政策を「戦略的忍耐」という氷に効果的に閉じ込めた。

 だが、ドナルド・トランプ大統領の外交政策既得権層に対する反感は、韓国や北朝鮮にとって期待以上の大きな利益になっている。逆説的に「戦略的忍耐」の失敗と既得権層に対する反感のために、トランプは北朝鮮問題に引かれ始めた。

 しかし、少なくとも米国的脈絡だけで見れば、究極的に真のデタントがなされるかを決めるのは外交政策既得権層だ。1970年代の中国との和解過程では、ヘンリー・キッシンジャー元国家安保補佐官の強力な主導で対外政策既得権層の無条件な反共産主義情緒を克服した。途方もない利益を期待する米国財界の支持も、専門家層の抵抗を克服するのに役立った。

 キッシンジャーのような人や米国財界の後押しがないならば、朝米デタントは既得権層の懐疑主義の餌食になりかねない。ところが、キッシンジャーは高齢で、北朝鮮は市場があまりに小さい。

 それでも、朝米デタントが米中デタントと大きく異なる点は、韓国の存在だ。韓国はリスクを一手に引き受けたり、北朝鮮との関与が実用的側面で効果があることを示すことができ、米国の既得権層を説得することができる。韓国の助けがあるならば、米国の外交政策既得権層も朝鮮半島の平和と統一に対する支持側に少しずつ動くことができる。

ジョン・フェッファー米国外交政策フォーカス所長

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/847500.html韓国語原文入力:2018-06-03 19:38
訳J.S

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