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[ニュース分析]トランプ「非核化はプロセス」…接点探る朝米

登録:2018-06-03 23:16 修正:2018-06-04 07:26
トランプ、ホワイトハウスで金英哲と面会後に柔軟性 
「非核化はプロセス…一度の首脳会談ではできない」 
非核化-相応措置「一刀解決」の難しさを認め 
“6・12談判”合意文より共同宣言の可能性
ドナルド・トランプ米大統領が1日、ホワイトハウスを礼訪した金英哲北朝鮮労働党副委員長と90分間にわたり面会し、見送るために一緒に建物の外に出てきている=ワシントン/AP聯合ニュース

 ドナルド・トランプ米大統領による1日(現地時間)の金英哲(キム・ヨンチョル)北朝鮮労働党副委員長兼統一戦線部長とのホワイトハウスでの面会を契機に、朝米が12日のシンガポール首脳会談に上げる非核化および相応措置と関連した意見の相違の差を大きく縮めている。トランプ大統領が柔軟性を発揮し、シンガポール首脳会談での合意内容の図がおおよそ描かれつつあるということだ。

 まず、トランプ大統領が金副委員長の礼訪結果を記者たちに説明した内容の中で、北朝鮮に要求する非核化の方式と関連して重大な転換をはっきり示唆した点が目につく。トランプ大統領は「それ(シンガポール12日会談)は始まりだ。一度に(非核化が)実現できるとは言わないし、そう言ったこともない」と明らかにした。また「それ(非核化)はプロセスだろう」としながら「一度の首脳会談で実現できると話したことはない。だが、関係が構築されるだろうし、それはとても肯定的なこと」と話した。

 トランプ大統領の発言は、これまで米国政府が要求してきた「一括合意、一括履行」という“一刀解決”方式とは相当な距離がある。これには、朝米間の信頼構築がない状況であるから“段階的・同時的”履行をしなければならないという北朝鮮の立場を一定程度受け入れた側面がある。また、非核化の技術的複雑性や、平和協定など体制安全保証の手続きの難しさのために“一刀解決”は難しいという現実を認めたと見ることができる。

 特にトランプ大統領がこの日の記者会見で、9回も“プロセス”という単語を使い、「何回かの朝米首脳会談」開催の可能性に言及したのもこうした脈絡と見ることができる。「段階的」という単語は使わなかったものの、シンガポール首脳会談を念頭に置いた「プロセス」という用語から朝米間の折衝の可能性が生じたわけだ。

 米国が主張してきた迅速で圧縮的な「非核化の速度」と「2年前後の非核化期間」については、北朝鮮の決断に任せたと見られる。トランプ大統領はこの日、金副委員長に「急ぐな。私たちは速く進む事もでき、ゆっくり進むこともできる」と話したと紹介した。彼は金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が非核化を「慎重にすることを望む。走って行くことはしないだろう」とも話した。「迅速な非核化」に対する相応措置も速やかに担保されることができるかを憂慮する北朝鮮側の説明を聞いて、いったん理解する意向を明らかにしたと見られる。

 だが、トランプ大統領は「私たちは制裁を課していて、それはとても強力な制裁だ。彼らがそれ(非核化)をしなければ、制裁をやめることはないだろう」と金副委員長に話したと明らかにした。これは、迅速な制裁解除を望むなら非核化措置も迅速にすべきで、北朝鮮の選択を圧迫したと分析される。非核化期間に釘を刺しはしないが「早急な非核化」の程度で両側が妥協できるとみられる。

 米国が北朝鮮の確実な非核化意志を見せてくれとして提示したという「核弾頭および大陸間弾道ミサイル(ICBM)の搬出」という「果敢な初期措置」は、トランプ大統領の金副委員長との面会でも確実な返事を得たとは見られない。

 ただし、トランプ大統領が「彼ら(北朝鮮)が何かをすることを望んでいると考える。それが可能ならば私たちもするだろう」と話したことを見れば、北朝鮮が自ら取りうる初期措置の内容について最小限間接的に言質を与えたのかもしれない。トランプ大統領が繰り返し「プロセスとしての非核化」を強調し、期待水準を低めている点を考慮する時、今回の首脳会談では核弾頭および大陸間弾道ミサイルの搬出・廃棄よりは申告・封印程度が予想可能な合意の最大値と見える。

 相応措置と関連しては、トランプ大統領が「いつかの時点には対北朝鮮制裁をやめる日を待ちこがれている」と公開的に明らかにした点が目につく。制裁解除の時点は、朝米首脳会談で具体的に議論されるだろうが、「非核化が完了する時」のような非現実的な時点を考慮しているとは見られない。

 トランプ大統領と金正恩委員長の“6・12談判”の内容は、合意文形式よりは非核化および相応措置の原則と方向性だけを盛り込んだ共同宣言文やコミュニケ形式で出てくるものと予想される。トランプ大統領は「ビッグディールは12日にあるだろう」としながらも「12日に何かを署名することはないだろう。私たちはその日、プロセスを始める」と話した。

ワシントン/イ・ヨンイン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/847477.html韓国語原文入力:2018-06-03 17:38
訳J.S

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