平昌(ピョンチャン)五輪を迎え、南北が2月4日に金剛山(クムガンサン)で開くことにしている合同文化公演を北側が取り消すと29日に一方的に通知した。表向きの理由は「南のマスコミが平昌五輪に関連して北が取っている真摯な措置を冒とく」し、「北の内部の慶祝行事まで言いがかりをつけた」ためというものだ。北朝鮮が言及している「慶祝行事」は開幕前日の2月8日の北朝鮮建軍節70周年のパレードをいう。
非常に遺憾だ。北朝鮮の指摘のとおり、平昌五輪を通じた南北和解の雰囲気に不満を抱いているようにいちいち言いがかりをつける南のマスコミの報道姿勢に問題がないことはない。北朝鮮当局がこれに対する不満を表すことはかまわない。しかし、民間のマスコミ報道を理由に行事を中止するということは納得し難い。南北間の合意はマスコミとの約束でなく、韓国政府がマスコミを直接統制する権限もない。むしろ北朝鮮の労働党機関紙の労働新聞が21日に文在寅(ムン・ジェイン)大統領の新年記者会見を露骨に非難したが、韓国政府は特別な抗議をしなかった。また建軍節のパレードが平昌五輪に関連しない北朝鮮内部の行事といっても、パレードに国連制裁の原因である大陸間弾道ミサイル(ICBM)等が多数登場することについて南のマスコミが指摘することは一理あるものだ。
このように北朝鮮が掲げる撤回理由が簡単には納得できないため、実際には他の理由があるという様々な受け止め方がされている。金剛山の公演のための政府の軽油搬出が対北朝鮮の制裁論議を引き起こすことに対する不満、300人余りが参加する大規模な公演に対する負担などが議論されている。北朝鮮が差し迫った馬息嶺(マシンニョン)スキー場の共同訓練については何の言及もせず、金剛山の合同公演だけ取り消したことにもこのような様々な内部事情があると見られる。
南北対話が進むなかでいろいろと持ち上がる北朝鮮の理解しがたい態度は、北朝鮮を理解しようと努めている南北対話に友好的な南の世論まで冷めさせかねない。女子アイスホッケー南北合同チームの議論で見られたように、北朝鮮に対する南の視線は単に澄んでいるだけではない。統一に対する期待感や熱望もかつてと同じではない。北は相互尊重と信頼を優先する姿勢で南北対話に臨むように願う。
南は問題がさらに拡大したり悪化しないようコントロールに努めなければならないだろう。北の文化公演中止が平昌五輪の成功と今後の南北関係改善の負担になってはならない。南北が久しぶりに会うのに、摩擦があるのは当然で、またこのような過程を通じて理解の幅を広げていくのが正常だ。いざこざに過敏な反応を見せることよりは包容的な姿勢で臨むべきだろう。
合わせて南北関係を妨害するような姿勢を見せている一部の保守報道機関と保守政治家の自制を願う。もしかしたら南北関係の悪化が保守層の結集など政治的な追い風になるのではという期待は、捨てることを望みたい。