仁川国際空港公社の労使が26日、非正規職の正規職転換方案に合意した。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が就任直後に最初に仁川空港を訪ねて「非正規職ゼロ化」を明らかにして以来7カ月余り、その間さまざまな生みの苦しみを味わって「果たして合意は可能だろうか」と疑われもした。誰もが満足する内容ではないものの、労使と専門家たちが角突き合わせて合意を成し遂げたことを高く評価する。暗いニュースが続いたこの年末に、韓国社会は対話と妥協を通じて一歩ずつ進めるという小さな希望を見るようだ。
合意の骨組みは消防隊やセキュリティーなど2940人は公社が直接雇用するものの、従来の公社の一般職とは別の職域となり、それ以外の7千人余りは2つの別法人を設立して直接雇用するものだ。ある研究案で850人という数値まで出ていたことに比べると、本社の直接雇用の規模は大きく膨らんだわけだ。採用方式は一定の職級以下は面接および適格審査を通じて、それ以上は競争採用だが、落ちた者は別会社の採用などを保障している。別会社の場合も本社の雇用より勤労条件や雇用安定が守られるようにするという点を明らかにしている。
先月の同空港の公聴会は「サバイバル」式だった韓国社会の素顔を映しだし、多くの人に失望感を抱かせのは事実だ。「手を取り合って共に進もう」という非正規職側の呼び掛けに対し、正規職は「無賃乗車するような話だ。公正社会、公開採用」と対抗した。不信の社会が強めた「点数競争イデオロギー」、必要な人材の9割を非正規職で賄ってきた公社の異常な構造などが作り出した考え方だった。
そのため解決のハードルはいっそう高まっていると見られる。まず、これまでの過程で生じた感情のわだかまりを払拭し、実際に同等の同僚として共に仕事をしていく文化を作らねばならない。正規職の労組幹部は今回の合意に対する既存の正規職の反発で不信任をつきつけられて辞退した形だ。契約が解約されるサービス会社の反発も当面は大きいだろう。
今後職務と職能を反映して設計するといった賃金体系の具体的な内容を整備するなかで、公正性と持続可能性を担保することもカギだ。政府は853の公共機関の正規職転換の試金石になる今回の合意の過程を綿密に検討し、細かい基準をさらに整備する必要がある。何よりも差別撤廃と処遇改善が続いて「非正規職ゼロ」を実質的に達成することが重要だ。今回の合意が、正規職と非正規職が「階級」のようになってしまった韓国社会が変わる契機になることを願いたい。