登録 : 2017.09.05 23:48 修正 : 2017.09.10 08:08

キム・ドンチュン聖公会大NGO大学院長、新たな百年研究院長//ハンギョレ新聞社
 新しい類型の知識人が必要だ。80年代以後、米国と日本の保守化と退嬰的な姿は、公共知識人の消滅と深く関連しているという事実を忘れてはならない。国家や社会全般に対して批判と代案の声を上げる人、基礎学問と市民社会の活性化のために走る若者はいつの世にも必要だ。

 今年4月、スイスで開かれた国際学術行事に参加した。見回すと40人余りの参席者のうち私が最年長に属するという事実を発見し若干驚いた。韓国では学術行事や各種討論会、そして市民社会の集いに行けば、50代中・後半の人々がほとんど壇上に座っていたり、マイクを握っている場合が多く、聴衆も大部分が同じ年頃の人々であるためだ。ほとんどすべての学会、市民の集い、労組に若い人々が来ないという話がかなり以前から聞かれた。

 老い行く韓国?ベビーブーム世代の長期執権?若者たちを無視する上位序列の組織文化?そういう点も確かにある。しかし、じっくり考えてみても3、40代が来ないのではなく、こうした集いに来る3、40代自体がいないという気がする。企業やベンチャーの現場には本当に野心に満ちて“能力のある”若者たちが集まっているようだ。しかし、マスコミや雑誌の紙面、市民運動圏、労組、学界や政界の集いには頭が白くなった人々が常に中心だ。なぜこうなったのだろうか?

 もちろん、学生運動が消滅し大学でアカデミズムが失踪したことが最も大きな理由だ。かつての学生運動は、功より罪が大きいという評価もある。しかし、韓国でかつて学生運動が国家や民族、社会の大義のために情熱を捧げた公共知識人の養成基地であったという事は明らかだ。ところが大学が商業化、企業化され、大学から学問と社会運動を夢見る若者たちは消えた。

 外国為替危機以後、すべての若者は新自由主義論理に適応しなければならなかったし、市場秩序は彼らを競争人間に育てた。市場で即戦力になる資格証を与えない文化芸術、基礎学問、市民運動、政治分野からは若者たちの姿は消えた。この方面に素養と意志がある若者たちも、大企業入社、主流マスコミ就職、教員試験、ロースクール、米国留学の道を選んだ。そしてこの分野で資格証を取るなり、やっとの思いで就職した人々も、その後は公的役割をしようとはしなかった。そちらで生存することも楽ではなかったが、激しい競争を経た結果、彼らはすでに“別の人”になってしまった。財政余力もなく、未来に備える冗長性もなかった市民社会、労組、政党、学界の指導部は“賢い”若者たちの心を捉えることはできなかった。

 ドイツには約2000の各種公益財団があり、社会のインフラを支えている。そして、すべての政党は自らのシンクタンクを持ち、未来の政治家と政策専門家を育てている。私が会った30代のエバート財団韓国所長は、50代の韓国学者の識見を越えていた。しかし韓国の政党、市民社会にはまともな政策研究所、教育研究機能を果す財団がない。中長期的に調査研究する大学の研究所も見つけるのが難しい。数百億円の予算を支出する国策研究所が、どんな機能を果たしているのか、未来の政策専門家を育てているのか、私たちは知らない。

 大きな教会や寺院には毎週献金が何袋も届けられる。もちろん心ある寄付者も増えている。しかし、韓国における寄付は、まだ“孤児院養老院支援”水準だ。

 7、80年代に民主化運動に参加したり、そうできなかった道徳的負債意識のために“カネにならない”仕事に多くの時間と精力を捧げて“居ついた”既成世代は韓国の“最後の知識人”となって、まもなく引退するだろう。もちろんそのような“知識人の時代”は過ぎ去った。しかし、新しい類型の知識人は必要だ。80年代以後、米国と日本の保守化と退嬰的な姿は、公共知識人の消滅と深く関連しているという事実を忘れてはならない。国家や社会全般に対して批判と代案の声を上げる人、基礎学問と市民社会の活性化のために走る若者はいつの世にも必要で、そうした素養を持っている人々が私企業や大型法律事務所へ流れるのを放置したり、博士学位を受けても日々の暮らしを心配しなければならない半失業者として生きていかせてはならない。

 過去10年間、韓国研究財団の人文韓国(HK)事業に参加した博士たち数百人は事業方針の変更で路頭に迷うことになった。ところがこの事業予算をすべて合わせても13億円にしかならない。ソウル市文化財団の予算は20億円を超えている。

 文在寅(ムン・ジェイン)政府、現与党の重要な任務の一つも、公共知識人が生存できる物質的制度的インフラを作ることだ。それこそがろうそく集会の希望を制度的に完成することであり、韓国社会の未来を作ることだ。

キム・ドンチュン聖公会大NGO大学院長、新たな百年研究院長

韓国語原文入力:2017-09-05 19:07
http://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/809788.html 訳J.S(2090字)

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