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[コラム]韓国軍は本当に国民の軍隊なのか

登録:2017-06-07 23:22 修正:2017-06-08 07:02
ウィ・スンホ国防部政策室長が先月31日、業務報告のためにソウル通義洞国政企画諮問委員会に入ろうとしている。大統領府は5日、THAAD発射台加搬入の報告漏れに対する調査結果、ウィ室長が関連内容を削除するよう指示したと明らかにした=キム・ギョンホ先任//ハンギョレ新聞社

 マイラ・マクファーソン(<Myra MacPherson>元ワシントンポスト記者)は、20世紀アメリカ独立ジャーナリストの伝説I.F.ストーンの評伝を書き、タイトルをこう付けた。「すべての政府は嘘をつく」。生涯政府の嘘と真っ向から闘った彼の経歴を表わすのに、これほどのタイトルはなかった。ストーンがどれほど政府の嘘に執拗に食い下がったのか、アメリカ連邦捜査局(FBI)も彼を執拗に査察して、何と1600ページ余りのファイルを残した。

 ストーンが明らかにした代表的な政府の嘘が「トンキン湾事件」だった。米国防総省は米国の軍艦がベトナムの魚雷艇の攻撃を受け破壊されたと発表し、すべてのマスコミがオウムのように国防総省の発表をそのまま書き写し、戦争ムードを高めさせたが、ストーンは逐一疑問を提起して、ねつ造の可能性を提起した。彼の主張は7年後、国防総省の機密文書が暴露され事実であることが確認された。

 すべての政府は嘘をつく。軍は特に激しい。19世紀中葉、クリミア戦争当時の英国軍はバラクラヴァの戦闘で、指揮官の命令により軽騎兵旅団がロシア軍に向けて突進し、わずか10分間で半分を超える345人が犬死にした時も「連戦連勝」していると発表した。第2次世界大戦当時、日本軍も本土が廃墟になっている状況でも連日「皇軍の常勝疾走」と騒ぎ立てた。

 韓国軍にはさらに特別な伝統がある。6・25(朝鮮戦争)開戦初期、李承晩(イ・スンマン)大統領はソウルを最後まで死守すると発表して直後に逃げた。軍首脳部は前方で北朝鮮軍を撃退していると発表し、漢江(ハンガン)の橋を爆破して市民の避難を阻んだ。それでも一言の謝罪もしなかった。2012年、合同参謀議長が国政監査場で「ノック帰順事件」に関してついた嘘も、前者に比較すればかわいく見えるが、そうした伝統の中から起きたことだった。

 2004年は、作戦計画5029、西海(ソヘ)北方境界線銃撃事件をめぐる軍当局の隠蔽と嘘でしばらく騒々しかった。銃撃事件では報告の欠落と隠蔽にとどまらず、軍の最高情報当局者がマスコミを利用した世論操作を通じて、国民が政府に不信感を抱き政府と闘うように離間をはかった。「作戦計画5029」の推進は、これよりさらに深刻だった。韓国軍の国籍を疑わせるものだった。

 米国は1993年以来、北朝鮮の急変事態に備えた韓米連合軍司令部主管の作戦計画樹立を主張した。1997年12月、政権交代期の混乱を利用して、韓国軍当局は米国の要求をこっそりと受け入れた。新たにスタートした金大中(キム・デジュン)政権は困り果てた。白紙化もできず、とはいえ北の内部異常事態に対する作戦計画まで容認することもできなかった。戦時ではないのに、在韓米軍による主権侵害や内政干渉の可能性が大きかったためだった。

 仕方なく1999年に折衝したのが「概念計画5029」であった。概念計画は、図上プログラムにとどまるということだった。2004年、軍当局はこの概念計画を作戦計画に切り替える作業をしていた。大統領は一歩遅れてこれを知り中断させた。米国の不満と反発は深刻だった。韓米同盟解体云々の話も出てきた。これに対して盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権は概念計画を修正することで誠意を示した。

 THAAD(高高度防衛ミサイル)問題は、それ以上に質が悪かった。政権交代期のざわついた合間を利用して、米国が願ったTHAAD配備をすばやく片づけようとしたまでは同じだった。しかし、そのために環境アセスメントなど韓国の国内法に違反した。また「米国と非公開にすることにした」という理由で、発射台4基の追加搬入を意識的に報告から漏らした。韓国軍当局にとっては米国の意志だけが重要で、国民や(国民が選んだ)軍の統帥権者、そして法律は眼中にもなかった。

クァク・ビョンチャン先任論説委員//ハンギョレ新聞社

 「国軍」とは、国民国家とともに誕生した国民の軍隊を意味する。封建王朝では王、諸侯、または豪族の軍隊であった。ナポレオンの軍隊がヨーロッパを制覇できた原因の一つは、軍人が国民の軍隊、自分の家族と祖国のための軍隊という自負心を持っていたためだった。こうした変化は、王朝を共和政に変えた革命の結果であった。国民の軍隊は、王の軍隊が一日8キロメートルを行軍する間に、40キロメートルを走って有利な高地を先占し敵を制圧できた。

 それでこのような慨嘆が出てくる。「韓国軍は果たして誰のための誰の軍隊なのか」、「果たして国民の軍隊なのか」。2回もクーデターで国民の選択を覆した経験があるので、国民や大統領を統帥権者として受け入れることを刺々しいと思うのかも知れない。それでは米国に対する忠誠は、なぜそれほどまでに盲目的なのか。

クァク・ビョンチャン先任論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/797877.html 韓国語原文入力:2017-06-07 20:14
訳J.S(2088字)

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