カン・ギョンファ外交部長官候補は7日、国会人事聴聞会で子どもの偽装転入(実際に住居を移さず住民登録法上の住所だけ変更すること)について「公職者として判断が大変足りなかった」と謝罪した。彼女は2000年7月、学校生活に適応できなかった娘の帰国を懸念し、母校(梨花女子高校)に進学させれば適応しやすいだろうと思い、恩師の紹介で偽装転入したと釈明した。理由はどうあれ過ちだ。特に、偽装転入した住居は梨花女子高校が管理するアパートであり、カン候補以外にも数人が偽装転入用に利用した情況が浮き彫りになった。知人のよしみで恩恵を享受する韓国社会の上流層の一断面を示しているようだ。最初は「親戚の家」だと話したが、マスコミ報道が出てやっと説明を変えた点も後味が悪い。しかし、ソウル奉天洞(ポンチョンドン)のアパートの所得税漏れ、博士号論文の剽窃、不動産投機など、これまで提起された残りの疑惑は聴聞会でほとんど解明されたと判断できる。
全体的に聴聞会の内容を見たとき、偽装転入問題がカン候補の外交部長官職遂行に決定的欠陥になるとは考えられない。コフィ・アナン、潘基文(パン・ギムン)、アントニオ・グテーレスの3人の国連事務総長が連続してカン候補を国連の主要ポストに抜擢した。国連でどのように働き、どのような評判を得ていたのかがよく分かる。特に、国連人権委員会で勤務し、人類の普遍的価値である人権問題に専門性を持っている点は評価に値する。初の女性外交長官候補という象徴性は言うまでもない。
北朝鮮の核、THAAD(高高度防衛ミサイル)などの懸案と、対米・対中関係での経験不足を指摘する声には耳を傾けるべきだ。野党は「大統領府の独走」の可能性を懸念している。しかし、4強外交は大統領府と調整するのが当然のことだ。また、これまで外交トップを務めた米国中心の正統外務官僚たちが「国益のための外交」をどれほどうまくやったのか、振り返る必要がある。外交部の革新のためにも、カン候補のような非外交官試験出身者を抜擢するのがより良いかもしれない。
一部の野党は、キム・サンジョ公正取引委員長候補の聴聞報告書の採択に強く反対している。一部では「カン・ギョンファ落馬」を条件にキム・サンジョ候補の聴聞報告書を採択するとも観測している。人事聴聞会の通過をめぐって政治的取引をするのは古い体制だ。むしろ女性外交部長官の任命が韓国の外交史に転換点をもたらすことだと考え、承認問題を解決するのが望ましい。