5日、大統領府のTHAAD(高高度防衛ミサイル)発射台報告漏れと関連した問責は、大きくは手続き的正当性を確保せずにTHAAD配備を強行したことに対する「断罪」と解説される。
国防部のウィ・スンホ政策室長(陸軍中将)が大統領府に出した釈明は、装備の追加搬入と関連して、米軍と非公開とすることで合意し▽以前にも報告書に記載した事実がなく▽口頭で説明しようとした、の3点に要約される。このうち米軍との非公開合意は、これまで国防部が見せた一貫した態度だ。国防部は3月6日、THAAD発射台2基を初めて搬入する時に公開したことを除き、THAAD装備の追加搬入有無に対しては全く公式に確認しなかった。しかし、大統領府は「米軍側との非公開合意は、マスコミなどに対する対応基調であって、国軍の統帥権者に対する報告とは別の問題」と明らかにした。大統領府は、ウィ室長が釈明した残りの2点に対しても納得できないとした。大統領府のある高位関係者は「国防部が以前の政府では国家安保室と黄教安権限代行にTHAAD発射台6基搬入をすべて報告しておきながら、なぜ文在寅(ムン・ジェイン)大統領の当選以後に(報告書からその内容を)削除したのか釈然としない」と話した。朴槿恵(パク・クネ)政府の時に報告したことを、なぜ文在寅政府では抜いたのかということだ。新政府を欺瞞する意図があったのではないかというのが大統領府の抱く疑いだ。
大統領府は、ウィ室長が当初口頭で報告しようとしたという点についても納得しなかった。通常、軍当局が国会議員などが軍事関連報告を要求する時に、軍事機密事案の流出を憂慮して口頭報告を好むというのは良く知られた事実だ。しかし、大統領府は国会とは異なり国防部の直接指揮ラインにある上位機関であり、軍の統帥権者機関に国会報告と同様にするということは理解し難いという指摘が多い。さらに、ウィ室長はなぜか発射台4基の追加搬入に対して口頭報告さえ省略した。大統領府のある高位関係者は「なぜ、強いて報告を欠落させたのか、その意図が理解できない」として「ただし(調査の過程でTHAAD搬入が)明確化された時に住民が反発するので、速かに進めるためにという表現があった」と話した。
大統領府のこのような流れを考慮する時、報告漏れにともなう問責の範囲が報告を実務的に総括したウィ・スンホ室長の職務排除を越える可能性が高いとみられる。文在寅大統領が追加調査を指示しただけに、追加調査の結果によっては懲戒対象者がさらに出てくることもありうる。いずれにしても追加調査は新しい国防部長官が任命された後に本格化する可能性が高い。ユン・ヨンチャン大統領府国民疎通首席も「大統領府民政首席室でこれ以上は調査せずに、該当部署で自主的に調査するなり、該当部署が必要とするならば監査院に職務監察を要請するだろう」と明らかにした。これと関連して大統領府の主要な関係者は「新しい長官が任命されれば、国防部の内部を相手に強力な調査を進めることになるだろう」と伝えた。
調査の結果によっては、ウィ室長よりさらに高位層に“刃”が向かうと見られる。別の大統領府高位関係者も「(私たちは)陳述者の陳述と昨年あった最初の報告書まで確認した結果、環境アセスメントを意図的に回避したとの結論を下した。その責任者が誰なのか、さらに調べる必要がある」と話し、環境アセスメントをテコに責任論が“上層部ライン”に向かうこともありうることを示唆した。一方、ハン・ミング国防長官はこの日、帰途に記者団に「国防部と軍は、軍の統帥権者である大統領の統帥指針を明確に実現するだろう」とし「環境アセスメントに関連しても、手続き的正当性を一層高めろとの指針なので、国防部がそのような方案を検討する」と話した。