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大統領府、既存のTHAADは維持し追加配備にはブレーキ…米中へのメッセージ

登録:2017-06-08 04:41 修正:2017-06-08 07:45
THAAD環境アセスメント実施方針を固めた大統領府 
大統領府高官「THAAD敷地、軍事施設の10万平方メートルではなく 
全体供与70万平方メートルと見るべき」  
「朝鮮日報」の報道に直接反論  
2基は維持、米国に「撤回ではない」とのシグナル  
4基は留保、中国を意識した“時間稼ぎ”
今月7日午後、THAADが配備された慶尚北道星州ゴルフ場に米軍装備が見えている。国防部は、文在寅大統領が在韓米軍のTHAAD配備の敷地に対する「法令に則った適正な環境アセスメント」を指示したことから、その履行に着手した/聯合ニュース

 大統領府が7日、「THAAD(高高度防衛ミサイル)配備事業に環境アセスメント手続きを踏む」ことを内容とした文在寅(ムン・ジェイン)大統領の指示を積極的に擁護した。保守メディアが同日、「文大統領の環境アセスメントの実施指示は法令をきちんと把握せずに下したもの」という趣旨で報じたものに対する反論と見られる。大統領府は「手続き的重要性」を強調し、追加搬入されたTHAAD発射台4基は環境アセスメントが終わった後、配備するかどうかを決めるとしたが、すでに慶尚北道星州(ソンジュ)ゴルフ場に配備された発射台2基と、Xバンドレーダーはそのまま維持すると明らかにした。THAADをめぐる米国と中国との関係を複合的に考慮した処置と言える。

 大統領府高官は同日、自らブリーフィングを要請し、「国防部がTHAAD配備に向けて在韓米軍に供与する予定だった全体面積70万平方メートルが、環境アセスメントの対象となる事業面積」だと強調した。環境影響評価法施行令は事業面積が33万平方メートル未満なら「小規模環境アセスメント」を実施し、33万平方メートル以上なら正常な「環境アセスメント」を行うように定めている。大統領府のこのような説明はTHAAD敷地の「事業面積」が約10万平方メートルに過ぎず、環境アセスメントを実施する必要がないという「朝鮮日報」の報道に狙いを定めたものだ。これまで国防部も「THAAD発射台やレーダー、火力統制所などの配備に向け、実際工事しなければならない面積は10万平方メートル未満」という理由を挙げて、環境アセスメントを回避してきた。

 大統領府はこれに対し、「報道で言及した事業面積10万平方メートルは基地やレーダー、発射台、コンクリート打設構造物の敷地などを指しているものと思われる。しかし、関連法規にはこれらの敷地を含めた供与の敷地全体70万平方メートルが国防・軍事施設の事業面積になっている」と反論した。2006年6月の大法院(最高裁判所)の判例も根拠として挙げた。当時、大法院は、迫撃砲射撃場の建設計画である「江原道刀槍里(トチャンリ)ペッコル総合訓練場の被弾地造成事業計画」に関する訴訟で「工事面積にかかわらず、全体事業計画面積が環境アセスメントの対象事業面積」だと判示した。大統領府が同日、マスコミの報道に積極的に対応したのは、批判を“放置”すれば、新政府の信頼度にも悪影響を及ぼし、結局今後の政策執行に大きな負担になるという懸念によるものと見られる。

 大統領府はTHAAD配備事業が全般的に手続き的正当性がないことを明らかにしたが、すでに配備されたTHAAD装備と追加搬入された発射台4基に対する対応措置は分離し、米国と中国にそれぞれメッセージを送っった。大統領府は、すでに配備されたTHAAD発射台2基などについては「あえて撤退する理由がない」として、環境アセスメントの実施とTHAAD配備を撤回するかどうかは関係がないという立場を再確認した。韓米関係を考慮した措置で、米国はこれまで大統領府が「THAAD報告漏れ」の真相調査を指示したことに対し、新政府がTHAAD配備事業をすべて覆すのではないかという疑念を抱いてきた。

 その一方で、大統領府は追加配備される予定だったTHAAD発射台4基は「環境アセスメントが終わるまで配備できない」とブレーキをかけた。大統領府高官は「グアムのTHAAD基地も環境アセスメントが施行された。23カ月かかったと聞いている」と話した。グアムに配備されたTHAAD砲台は発射台が3基(予備1基を含む)である反面、慶尚北道星州のTHAAD砲台にはグアムより規模が大きい発射台6基が配備される予定だ。中国を意識した時間稼ぎと見られる。

パク・ビョンス先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/797930.html 韓国語原文入力:2017-06-07 22:45
訳H.J(1994字)

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