ドナルド・トランプ米大統領と中国の習近平国家主席の初顔合わせとなった米中首脳会談が、当初の予想よりは明確な成果を上げられず終わった。韓国政府が注目していた朝鮮半島への高高度防衛ミサイル(THAAD)配備による中国の報復処置などについても、公式言及はなかった。
今回の会談は両首脳が各自の立場を展開し、提示したのに止まったと言える。友好的な雰囲気を演出し、これ以上の対立を防ぐのに力を注いだ探索戦だった。北朝鮮の核とTHAADの解決策がなかったという指摘には、この問題が1回の首脳会談で“突破”できるようなものではないことから、期待をかけすぎた側面もある。
したがって、朝鮮半島問題において今回の首脳会談は今“第一歩”を踏み出したものと見なければならない。ただし、その過程で懸念すべきなのは、韓国政府が現在、北朝鮮の核問題とTHAAD配備問題でトランプ政権と同じ立場であるうえ、強硬路線に突き進んでおり、少しの融通性も示していないことだ。これは、米国と中国に韓国政府とあえて協議する必要性をあまり感じさせない要因になっている。これにより、朝鮮半島問題において韓国はそっちのけにされ、存在感をなくしている。さらに、朴槿恵(パク・クネ)大統領の罷免後、現政権が大統領権限代行の一時的な管理体制という点で、なおさらだ。
しかし、現在、朝鮮半島をめぐる状況は韓国の事情を考慮してもらえるほど甘くない。北朝鮮は4日、米中首脳会談を控えてミサイルを発射したのに続き、米海軍の原子力空母カールビンソン空母戦闘団が、武力誇示の一環として朝鮮半島沖の西太平洋に移動するなど、さらに緊張が高まる可能性もあると見られている。米国のマスコミと議会では北朝鮮の核問題に対する軍事的解決策が連日取り上げられている。米国は最近、化学兵器の攻撃に対する報復として電撃的にシリアを空襲した。トランプ政権が国内の政治的得失に基づいて朝鮮半島を緊張局面に追い込む可能性も排除できないとまで予想されている。
ところが、主要大統領選挙候補らは、当面は得票に直接つながらない北朝鮮の核問題と外交安保問題には、言及を避けているようだ。「執権してから何をするのか」も大事だが、差し迫った北朝鮮の核問題について、重要な未来権力として米国と中国に対し(独自の立場を)要求するなど、責任感のある声を出すべきだ。