ドナルド・トランプ米大統領が今月6~7日(現地時間)、中国の習近平国家主席との首脳会談を控え、強硬な対北朝鮮制裁に中国の参加を引き出すため、圧迫を強めている。中国も、対話と交渉を通じた北朝鮮核問題解決という従来の立場を曲げないものと見られ、首脳会談で激しい駆け引きが予想される。
■米国、独自に北朝鮮問題を解決する?
トランプ大統領が2日、英国の「フィナンシャル・タイムズ」とのインタビューで、「中国が北朝鮮問題の解決に参加しなければ、米国(独自に)解決するだろう」と明らかにしたのは、中国との交渉を控えた時点で、一種の“ブラッフィング(bluffing)”(相手を欺くために使う虚勢やこけおどし)と見られる。トランプ大統領はレックス・ティラーソン米国務長官が中国を訪問した先月17日にも、ツイッターを通じて「北朝鮮は数年間米国をもてあそんだ。にもかかわらず、中国はほとんど助けなかった」と側面支援を行った。
今回の発言の脈絡はややつじつまが合わないところがある。「中国とどの程度協力することを熱望しているのか。米軍が韓国から撤退するかわりに、中国が北朝鮮を圧迫する、いわゆる“グランドバーゲン”も考えられるのか」との質問に、トランプ大統領は「中国」という言葉だけに集中したような答弁をした。用意された腹案を基に繰り出した精製された発言というよりは、トランプ大統領が北朝鮮核問題解決に向けた「中国役割論」にそれだけこだわっていることを反映するものとみられる。
しかし、米中首脳会談で北朝鮮の核問題と関連して期待したレベルの中国の協力を得られないと判断した場合、トランプ政権が独自行動に乗り出す可能性もあるという分析もある。匿名を要求した韓国の米中関係の専門家は「トランプ大統領の交渉戦略は、(自分の真意を隠して相手を混乱させる)“不確実性”に基づいている」とし、「米国が独自制裁などを開始する可能性もある」と見通した。
■差し迫った北朝鮮の脅威と対北朝鮮政策検討の完了
「フィナンシャル・タイムズ」と「ロイター」通信などは、ホワイトハウスのキャサリン・マクファーランド国家安保会議副補佐官が主導した対北朝鮮政策の検討作業が完了したと報じた。また、マクファーランド副補佐官は「フィナンシャル・タイムズ」に「北朝鮮がトランプ政権の任期中に、核武装したミサイルで米国を攻撃しうる現実的な可能性がある」として北朝鮮核問題を差し迫った脅威に挙げた。
現在まで決定されたトランプ政権の対北朝鮮政策は、北朝鮮の国際金融網の遮断などの制裁強化▽中国役割論の強調▽韓米日の外交・軍事的協力強化に要約される。大きな枠組みからすると、中国の役割をさらに強く要求すること以外には、バラク・オバマ政権の「戦略的忍耐」と大きく変わらない。北朝鮮に対する先制攻撃と関連し、米国のある高官は、「ロイター」通信に「オプションから排除はしないが、それより危険ではない措置に優先順位を置いている」と明らかにした。
細部的に見ると、全般的な対北朝鮮政策基調が強硬であることは明らかだ。トランプ政権内部では、北朝鮮が6回目の核実験などを行った場合、北朝鮮と正常に取引する中国企業に対しても制裁を加える「セカンダリー・ボイコット」を断行せざるを得ないという雰囲気が広まったという。
ミサイル防衛(MD)システムの強化などを通じて、中国を軍事的に圧迫する案も提起されている。また、トランプ政権は、北朝鮮との交渉の可能性を残して置きながらも、現在の状況では時期尚早という立場を示している。
ただ、今回の対北朝鮮政策は、米中首脳会談を控えてまとめた暫定案に近い。トランプ政権の事情に詳しい消息筋は「これからも対北朝鮮政策を引き続き補完・発展させるのがトランプ行政部の基本立場」と伝えた。