朴槿恵(パク・クネ)前大統領が検察で被疑者として事情聴取を受けた後、22日帰宅した。これから検察は、朴前大統領調査の内容と関連記録、証拠などを基に拘束の可否を含めた捜査方向を決めることになる。法と原則以外のものが判断基準になってはならない。
事実と法律関係からすると、判断はさほど難しくない。事件の実体は、朴前大統領の事情聴取以前と以後とで、あまり変わっていない。朴前大統領の13件の容疑については、すでに犯罪を十分に疎明できるほどの物証と証言が揃っている。共犯や関係者は捜査と裁判過程で、朴前大統領の容疑事実を具体的に証言している。さらに、朴前大統領の容疑のほとんどは重い刑が予想される。サムスンから受け取ったという数百億ウォンの賄賂が法廷で認められれば、無期または10年以上の懲役に処されることになる。朴前大統領を除いた共犯のほとんどが既に拘束されていることも、事案の重大性を示している。容疑がこのように重大である場合は、たいてい拘束捜査を行う。
朴前大統領が検察の事情聴取で容疑を全面否定したのも、拘束の必要性を高めている。確実な物証と関連者らによる揺るぎない供述が揃っているにもかかわらず、犯罪の故意性を繰り返して否定すること自体が、証拠隠滅の懸念を一層明確に示しているものと思われる。証拠が明らかなのに、頑なに容疑を否定するのはいつでも捜査を妨害するであろうと見るしかないからだ。朴前大統領に賄賂を渡した側であるサムスン電子のイ・ジェヨン副会長と“共犯”であるチェ・スンシル、アン・ジョンボム、チョン・ホソン氏など、関係者の大半が拘束されている時に、すべての容疑の中心人物である朴前大統領を拘束しないのは、公平性にも反する。刑事訴訟法のいかなる基準と原則からしても、朴前大統領の拘束は避けられないものと見られる。
検察は大きな事件であればあるほど原則に忠実でなければならない。捜査のために、法執行の原則上、拘束捜査が必要だと判断したなら、その判断通りに拘束令状を請求すればよい。これから行われる大統領選挙で誰が有利で、不利か、誰がどれくらい反発するか、どんな状況が検察に有利なのかなどの政治的考慮をしていては、判断を誤りかねない。法と原則が基準となるべき決定が政治的に汚染されていると疑われるようになれば、ただでさえ国民の不信感を抱かせてきた検察の居場所はさらに狭くなる。
判断を下したのなら、先送りしてはならない。決定が遅れれば、要らぬ論議と疑念だけが膨らむだけだ。令状を請求するか否かは、今週中に決断するのが望ましい。