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[コラム]賃貸業者の国

登録:2017-03-07 22:46 修正:2017-03-08 15:23
チェ・スンシル氏が3月3日午前、瑞草区ソウル中央地裁で開かれた公判に出席するために護送車から降り法廷に向かっている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 被告人チェ・ソウォン。一般に知られている名前ではチェ・スンシル。検察と特検が作成した調書と起訴状に記載された彼女の職業は賃貸業だ。チェ・スンシルは昨年12月19日の初公判で「職業は賃貸業か」と尋ねる裁判長の質問に黙って頭だけでうなずいた。パク・ヨンス特別検察官チームは、チェ・スンシル一家が所有する土地とビルが178件2230億ウォン(申告価格)に及ぶという捜査結果を出した。チェ・スンシルの所有であると確認されたのは228億ウォン(36件)だ。

 61歳の彼女がいつから賃貸業者、建物オーナーとして暮らしてきたかは分からない。ただし20代後半、または30代初めからすでに不動産資産を転がしてきたということは察することができる。2007年6月17日、ハンナラ党大統領候補予備選挙の過程でキム・ヘホ氏が疑惑を提起し厳しくやられたその内容だ。

 「チェ・スンシルが当時も莫大な不動産を所有した背景を検証することを願う。チェ・スンシルは狎鴎亭洞(アプクジョンドン)の中心商店街地域に数百坪台の土地と建物を所有した。当時20代後半で資金の出処および各種不動産の取得経緯が疑わしい。チェ・スンシル以外の姉妹の財産もやはり相当なものと伝えられている。周囲では当然チェ・テミンが引き出した各種基金、および公金だろうと考えた。財産の形成背景と朴槿恵(パク・クネ)との関連性を検証することを願う」

 10年前の検察の捜査資料によれば、キム・ヘホ氏の拘束令状に書かれた「拘束を必要とする理由」として起訴状にはこのように書かれている。「不正行為をして財産を形成したとか、チェ・スンシルらの財産が朴槿恵候補と関連した財産ということが客観的に確認されておらず、また少なくとも信じるに足る合理的な根拠資料がないにも関わらず…」、「公然と確認されてもいない事実を指摘して、大統領選挙候補予定者の朴槿恵を誹謗すると同時に、被害者朴槿恵、チェ・スンシルの名誉を傷つけ…」

 不動産に関する公約・政策を羅列した朴大統領は、実際にはマイホームを準備してみたこともない。父親のおかげで長期居住した大統領府は、10・26の後に全斗煥(チョン・ドファン)に渡す。全斗煥はシン・ギス京南企業会長に朴大統領が住む家を建てるよう指示する。最初の“マイホーム”であるソウル城北洞(ソンブクトン)の家だ。検察はキム・ヘホ氏捜査の時、この内容が1984年国家安全企画部が直接調査した内容であることを確認した。

 城北洞から獎忠洞(チャンチュンドン)を経て、1990年に三成洞(サムソンドン)に引越してから27年後、パク・ヨンス特別検察官チームは、チェ・スンシルと彼女の母親、すなわちチェ・テミンの夫人が朴大統領の三成洞42-6番地の家を契約して住居代金まで支払った事実を明らかにした。朴大統領の弁護人は「獎忠洞の自宅を売った金で三成洞の家を購入した」と主張した。ただで得た城北洞の家が、獎忠洞の家の元手になり、住宅代金はそうだとしても三成洞の家を直接調べてみて、契約した張本人が朴大統領ではないという事実には反論できなかった。小学生も将来希望する職業に挙げもするという賃貸業者だが、40年来の知己に賃貸業者がいたので、別に苦労することもなかったのかもしれない。

キム・ナムイル政治チーム記者//ハンギョレ新聞社

 国政壟断の主役がまともな生活人ならば、まったくそぐわなかっただろう。世の中のすべての賃貸業者が後ろ指を差される理由はない。ただ、数十年間にわたり大統領の服まで代わりに買って着せることは“9時-6時”(定時勤務)に残業までする生活人には不可能だという話だ。

 ソウル江南(カンナム)の街路樹通り周辺の建物は、10個に4個が相続・贈与される、賃貸業を家業として相続する国、キム・ヘホ氏は10年前、朴大統領に向かって「チェ・テミンとその娘の操り人形に過ぎない」と話した。この4年間、私たちは本当に“賃貸業者の国”で暮らしていたのだ。

キム・ナムイル政治チーム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/785513.html 韓国語原文入力:2017-03-07 19:01
訳J.S(1781字)

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