登録 : 2017.02.27 05:18 修正 : 2017.02.27 07:36

ドナルド・トランプ米大統領が23日、ホワイトハウスで演説している=ワシントン/AP聯合ニュース
 先制攻撃は北朝鮮核問題を一発で解決する「神の一手」に思えるかもしれないが、ペリー元国務長官も指摘したように、北朝鮮の核能力が高度化した現在の状況ではさらに使えない方法だ。もし、韓米の誤った判断で先制攻撃が実施されれば、「角を矯めて牛を殺す」ようなことになるだろう。

 トランプ大統領就任後、米国の政界では対北朝鮮先制攻撃が取り上げられている。そのような状況で今月12日、北朝鮮が中距離弾道ミサイルを発射した。意外に北朝鮮に対して言及を控えてきたトランプ大統領が、今月23日の記者会見で「北朝鮮は極めて危険な国」と規定し、ミサイル防衛体制(MD)の強化以外にも他の軍事的処置を取る意向を示した。そうなれば、北朝鮮核問題が発生した1993年以来24年間北朝鮮核問題の解決策としてあげられてきた先制攻撃が、トランプ時代には実施されるだろうか?

 先制攻撃論は1994年春、米国で提起された。1993年3月、北朝鮮が核拡散禁止条約脱退を宣言すると、金泳三(キム・ヨンサム)大統領の反対にもかかわらず、米国は4月からベルリンで北朝鮮と非公開接触を行った。「今日の一針明日の十針」になることを防ぐための判断だった。ベルリン接触は、ジュネーブ米朝会談に昇格されて回数を重ねていった。しかし、米朝交渉は順調ではなかった。特に、北朝鮮の交渉戦略は米国を疲れさせ、怒らせるものだった。それを見かねた米国が対北朝鮮先制攻撃計画を立てた。交渉を通じて北朝鮮の核開発を防ごうとしたが、それが難しければ、寧辺(ヨンビョン)核団地を先制攻撃して禍根を取り除こうというものだった。

 しかし、先制攻撃は実行されなかった。北朝鮮に対する圧迫を求めていた金泳三当時大統領も、実際に先制攻撃が近づくと、外相をワシントンに派遣し、反対意思を伝えた。当時、米国防長官だったウィリアム・ペリー氏は昨年11月15日、延世大学での招請講演で、1994年に寧辺核団地を先制攻撃しなかった理由を説明した。「寧辺核団地の先制攻撃作戦自体は難しくないだろうと判断した。しかし、北朝鮮の反撃によって、全面戦争が起きれば、韓国が莫大な被害を受けざるを得ないと分析された。ところが、同年6月中旬、ジミー・カーター元米大統領が平壌(ピョンヤン)を訪れて北朝鮮の金日成(キム・イルソン)主席と会談する場で、金首席がカーター氏に南北首脳会談の仲裁を提案した。対話の可能性が見えたため、状況が一気に変わった」。ペリー元長官はそこまで話したものの、在韓米軍の内部の検討の結果、先制攻撃がもたらす被害規模が莫大だった。

 筆者は、当時大統領府統一秘書官だったため、在韓米軍内部の検討結果の内容について聞く機会があった。要旨はだいたいこういうものだったと記憶している。「寧辺核団地の先制攻撃自体は3日以内に終わる。 しかし、寧辺を攻撃された北朝鮮は休戦線の近くに前進配置された長射程砲放射砲で、韓国首都圏を攻撃して300~500キロの短距離ミサイルを発射するだろう。そうして全面戦争になった場合、南北が焦土化されて韓国戦争時以上の犠牲を強いられるだろう。戦後の復旧には30年間が必要で3000億ドル以上の復旧費がかかるだろう」。先制攻撃に伴う副作用がこのようなものなら、米国も同盟国を破綻のどん底に追い込むことはできなかったのだ。

 ペリー長官は「オバマ政府の戦略的忍耐政策が、結果的に北朝鮮に核能力の高度化に時間を与えた」と指摘した後、こう述べた。「北朝鮮に核兵器が一つもなかった1994年にも先制攻撃がもたらす災いのために先制攻撃ができなかった。北朝鮮が核爆弾を10個くらいに持っていると分析しておいて、北朝鮮核問題を解決するために先制攻撃をすべきだと? それなら、核爆弾がどこに隠されているのかわかって探して先制攻撃をするというのか?」

 先制攻撃は北朝鮮核問題を一発で解決する「神の一手」に思えるかもしれないが、ペリー元国務長官も指摘したように、北朝鮮の核能力が高度化した現在の状況ではさらに使えない方法だ。もし、韓米の誤った判断で先制攻撃が実施されれば、「角を矯めて牛を殺す」ようなことになるだろう。北朝鮮核問題の解決以前に7500万の韓民族が回復不能の災いに見舞われるだろう。

チョン・セヒョン平和協力院理事長/元統一部長官//ハンギョレ新聞社
 北朝鮮の交渉戦略は相手を疲れさせる。合意後も様々な口実を並べて履行しない場合も多い。だから交渉で北朝鮮核問題を解決するためには、忍耐が必要であり、時間もかなりかかるだろう。しかし、先制攻撃は、机上の空論にはなり得ても、北朝鮮核問題の解決策ではない。

 候補時代「金正恩(キム・ジョンウン)氏とハンバーガーを食べながら対話する」と言っていたトランプ氏が、北朝鮮のミサイル発射後「『ノー』とは言えないが、金正恩との会談は時すでに時遅しだ」と述べた。これは外交安保チームの構成が終わらなかったにもかかわらず、米朝直接対話がそれだけ急がれることを強調したものといえる。先制攻撃を示唆したのではない。

チョン・セヒョン平和協力院理事長/元統一部長官(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:登録:2017-02-26 17:46
http://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/784231.html 訳H.J(2221字)

関連記事
  • 오피니언

multimedia

  • most viewed articles
    • hotissue