「偽ニュース」が猛威を振るっている。特に、大統領弾劾反対集会で荒唐無稽な偽ニュースが集会のムードを盛り上げる素材として活用されている。偽ニュースで埋め尽くされた新聞を模した印刷物が撒かれ、講演者らは偽ニュースを真実のごとく引用して参加者を扇動する。先週末、親朴槿恵系団体の弾劾反対集会では、自由韓国党(旧セヌリ党)のキム・ジンテ議員が「(特検が)捜査対象でもないブラックリストを捜査した」と露骨に嘘をついた。この日撒かれた『ノーカットイルベ』という印刷物は、朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長が「いっそ観光名所のスケート場でもオープンするものを」と嘆いたという「虚偽の記事」を掲載した。氾濫する偽ニュースはますます巧妙になり、規模も大きくなっており、黙って見過ごしては公論の場自体が危うくなるほどだ。
偽ニュースは弾劾局面に乗って主に団体のカカオトークのような親朴系団体中心のSNSを通じて流布されていたが、最近では紙の新聞の形にまで進化している。タイトルや形式も一般記事と似せており、一見本物のニュースのように見える。しかし内容を見れば、事実を捻じ曲げたものや明白な虚偽記事であり、特定人物の名誉を毀損する偽りの報道だ。「チェ・スンシルのタブレットPCはねつ造だ」や「セウォル号事件は北朝鮮の指令だった」などの内容は、一様に弾劾の正当性を否定し、ろうそく集会の市民たちを従北勢力と烙印を押す。さらには、ありもしない機関と名前を作りあげ「外国の知識人インタビュー記事」を作り、大統領弾劾を「奇怪で陰険なやり方」だと方向づけようともする。このようなとんでもない嘘の情報がSNSに流れ、数千回ずつシェアされることで急速に広まっている。
偽ニュースの生産・流布は言論の自由という民主主義の大原則を歪曲し、その土台を崩す反言論行為だ。情報不足な人たちが、偽ニュースに繰り返し接したとき「何の根拠もなくこんなことは言わないだろう」として信じてしまう心理を悪用しているという点で、危険で不道徳である。特に、偽ニュースを利用して特定人物を虚偽事実で攻撃することは、明白な犯罪行為だ。偽ニュースの製作・流布は、ドイツ国民を嘘でだまして戦争の惨禍に陥れたナチス政権の宣伝扇動行為と変わりない。警察が偽ニュースを取り締まるため、専門担当捜査人員を配置したという。迅速かつ厳正な捜査で犯罪行為を遮断し、犯罪者たちにはしかるべき責任を問わなければならない。ゲッベルス式の嘘が横行するのを放置していては、民主主義を守ることはできない。