登録 : 2017.01.31 23:21 修正 : 2017.02.01 06:14

カンジョン村会副会長兼海軍基地反対対策委員長のコ・クォンイル氏//ハンギョレ新聞社
 旧正月連休が過ぎた1月30日、済州道西帰浦市(ソグィポシ)江汀(カンジョン)村を訪れた。済州海軍基地の周辺に掲げられている「海軍基地のないカンジョン村」、「海軍基地、決死反対」、「求償権を撤回せよ」などと書かれた色あせてすり切れた黄色い旗が、激しい風になびいていた。青黒い海の荒波が休む間もなくカンジョンの入り江を打ちつけた。

 いま、カンジョン村の住民は国家に対する怒りと諦めがないまぜになっている。カンジョン村会の副会長であり海軍基地反対対策委員長のコ・クォンイル氏に会った。彼は記者と高等学校の同級生だ。高等学校の時から漫画を描くことが好きだった彼は、いつもまじめで楽観的だった。ソウルで大学院に通っていた頃、月刊誌やスポーツ新聞に定期連載するほど売れっ子の漫画家として名を馳せた。2008年、26年ぶりに故郷に帰ってきた後、闘争隊列の先頭に立った。故郷の状況を黙って見ていることはできなかった。

 闘争の現場で会った褐色の顔の彼は、10代後半の面影はだいぶ姿を消したものの、温和で合理的な性格はそのままであった。大学時代にホームシックに罹り、故郷に駆けこんでクロンビ岩を歩き、釣りをしながら心身を癒したという。

 今年でカンジョンの住民たちの海軍基地反対闘争は満10年を迎えた。2007年4月、一部の住民たちの一方的な基地誘致決定による大多数の住民の反発から始まった反対闘争が、これほど長くなると思った人はまずいない。

 カンジョンの住民たちの長い闘争にもかかわらず、昨年2月「海軍済州基地」は竣工された。しかし、建設過程で残された住民たちの精神的、肉体的苦痛はもとより、財産的被害は現在進行形だ。延べ700人あまりが警察に連行され、裁判に付された件数だけでも392件に上る。罰金額は4億ウォン(約3900万円)あまりに上る。海軍基地は村の姿を変え、住民たちを葛藤の中に陥れた。

 竣工当時、朴槿恵(パク・クネ)大統領は「地域社会と共生し和合する意味深い契機となることを願う」と述べた。しかし、海軍はサムスン物産が工事遅延による損失賠償金を要求すると、273億ウォン(約27億円)を弁償し竣工式から1カ月後に住民と村会など個人116人と5団体を相手に34億5千万ウォン(約3億4千万円)の求償権を請求し、住民たちに不意打ちを食わせた。これとは別に、サムスン物産や大林(テリム)産業が数百億ウォンの賠償金を海軍に要求し、手続きを踏んでいる。

 海軍基地建設過程で住民たちに大きな傷を負わせた政府は、葛藤の解消どころか住民の怒りをさらに膨らませている。与野党国会議員165人が昨年10月、「政府が国民との訴訟を通じて主権者である国民を苦痛の崖っぷちに追いやることがあってはならない」とし、求償権の撤回を要求する決議案を提出した。ウォン・ヒリョン済州道知事と済州道議会はもちろん、済州地方弁護士会まで立ち上がり求償権の撤回を建議・要求したが、政府の態度は微動だにしない。「国策事業に反対するとどうなるのか見ておけ」と、国民に“警告”するかのようにだ。

ホ・ホジュン湖南済州チーム長//ハンギョレ新聞社

 政府が住民に数十億ウォンの求償権を請求した事例はない。12月23日に開かれたカンジョン村総会で、住民たちは「これが国か」と憤った。住民たちは求償権を病人の血と汗を絞りとる「血膿」だと言った。コ氏は「国策事業なら住民の声は踏みにじってもいいのか。共同体を守るために闘ってきた住民たちが多くの不利益を被ったのに、求償権まで払わされるのは国家暴力だ」と憤った。住民たちは葛藤から抜け出すために努力している。約70年前、済州4・3事件ですでに国家暴力を経験した人々のトラウマを掘り返してはならない。カンジョンの住民たちを包摂しなければ、共生や和合などという言葉は空言に過ぎない。大統領選挙に出馬する候補たちは、カンジョンの住民たちの血膿を拭いてあげなければならない。

ホ・ホジュン湖南済州チーム長(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2017-01-31 18:50
http://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/780765.html 訳M.C(1779字)

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