ミル財団、Kスポーツ財団に援助した以外に、チェ・スンシル氏の娘チョン・ユラ氏に巨額の支援をしていたサムスングループが「我々は被害者」と強弁している。掌で雨を防ぐ(無理な言い逃れの)ようなものだ。サムスン電子のイ・ジェヨン副会長の刑事罰を免れようとする意図かもしれないが、これではサムスンとイ・ジェヨン副会長の将来はむしろいっそう暗くなる。
サムスンはこれまで何度も説明を変えてきた。チョン・ユラ氏に馬を買ったという昨年のマスコミ報道については「事実無根」としてはっきり白を切った。また乗馬協会会長で同社のパク・サンジン社長が直接ドイツに行ってビデクスポーツ社と220億ウォン規模のコンサルティング契約を結んだ事が分かった際も、「乗馬協会次元でした仕事」と嘘をついた。特別検察官チームの捜査にサムスンが乗り出して支援したという事実が分かると、今度は「朴槿恵(パク・クネ)大統領の強い圧力に逆らいきれず支援することになった」として「被害者」の論理を展開している。
サムスンは支援の対価として取りざたされている国民年金公団によるサムスン物産と第一毛織の合併賛成をめぐっては「両社の合併は手続き上何の問題もなく、政府に特に手助けしてもらう点はない」と主張している。両社の合併割合は第一毛織の最大株主であるイ・ジェヨン副会長に途方もなく有利だった。両社の合併でイ副会長は経営権の継承に大きく踏み出した。しかし合併成功に決定的な役割を果たした国民年金公団の合併賛成は無理に無理を重ねた結果であった。拘束されたムン・ヒョンピョ元保健福祉部長官が同公団に合併賛成するよう圧力を加えた事実や公団が合併賛成決定直後に大統領府に直接報告した事実などがすでに分かっている。特検が捜査結果を公表して、さまざまな証拠を示せば、その時もまた話を変えるのだろうか。
イ副会長が拘束された場合、総帥体制を取るサムスングループの意思決定に支障がでるのは避けられないだろう。しかしそれは、イ副会長に問題があっても隠すべきだという理由にはなりえない。拘束の有無は特検や裁判所が判断するが、「被害者」の主張は国民の反感を買って刑事罰の強度を一層高めかねない。
サムスンとイ副会長が今すべきことは、過去の誤りについていかに責任を負うか、韓国最大の企業集団の経営をいかに改革して信頼を回復するか深く考えることだ。そのためにはまず誤りをありのままに認めねばならない。
韓国語原文入力:2017-01-15 17:49