憲法裁判所の弾劾手続きが残っているが、早期大統領選挙の幕はすでに上がった。憲法裁判所は弾劾裁判の速度を上げている。ろうそく攻撃だけに執着する朴槿恵(パク・クネ)大統領の弁護人は、法理的防御をあきらめたように見える。大統領の空席60日以内の水曜日に補欠選挙をするという規定によれば、次期大統領選挙日もほとんど予想がつく。今の雰囲気では花が咲きほこる春の選挙がますます現実化している。
新年初頭、ほとんどすべての報道機関が実施した大統領選挙世論調査の核心は一点だ。大勢論だと言えるほどに文在寅(ムン・ジェイン)共に民主党元代表の上昇が際立っているという点だ。「票の拡張性に限界がある」と批判することをためらうほどだ。「政権交替」世論が圧倒的な状況で、この傾向をひっくり返すことは困難に見える。
そうであれば、なおさら連帯の重要性は大きくなる。民心が野党勢力の分裂と傲慢のために背を向けるには1カ月もあれば充分だ。連合と連帯は「大統領選挙以後」のためにも必須だ。「朴槿恵退陣」の旗の下に集まった支持層は、選挙以降には分散する可能性が高い。保守陣営は攻勢を再開するだろうし、進歩側からも改革が不十分だという不満が表出されうる。反動を跳び越えてろうそく集会の要求である正しい社会、公正な社会のための改革を持続的に推進させるには、広範な支持基盤を維持しなければならない。多様な政治勢力を抱擁する努力が文元代表に必要な理由だ。そうした点で最近の彼の発言で最も目につくのは「民主党と国民の党はすべて民主政府の後えいだ。大統領選挙の過程で力を集めることを切に望む」と言及した。この言葉が政治的修辞に終わってはならない。誰がなんと言おうが、文元代表は野党勢力の最有力候補だ。そうであるからこそ、一層大胆に批判と指摘に耳を傾けなければならない。
安哲秀(アン・チョルス)元国民の党代表が、今回の大統領選挙を「政権交替のための、文在寅と安哲秀の戦い」と主張したのは時期に適った発言だ。国民の党内外で提起されている「第3地帯論」または「ビッグテント論」に明確に線を引く意味を持つためだ。潘基文(パン・ギムン)前国連事務総長がどこで政治を始めようが、彼が「与党候補」という事実は変わらない。親李明博(イ・ミョンバク)勢力はもちろん、ごく少数の「根っからの親朴」を除くセヌリ党の人々まで結局は潘基文の傘の下に集結することは明らかだ。ろうそく集会以後「進歩大統領」を望む国民が60%を超える状況で、セヌリ党、またはその後継勢力と手を握り政権を追求するのは愚かなことだ。安哲秀が野党の土俵で文在寅と競うことは、容易ではないだろうが賢明な選択だ。
1987年の大統領直選制改憲以後、進歩陣営は国民の過半数の支持を得て執権したことは一度もない。1997年、金大中(キム・デジュン)候補は金鍾泌(キム・ジョンピル)とDJP連帯をしてもなお40.3%の得票率でかろうじて勝利した。2002年、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は48.9%の支持を得て過半数に近接したが、鄭夢準(チョン・モンジュン)候補との単一化があったからこそ可能なことだった。「少数派進歩政権」は執権以降も揺れ続けざるをえなかった。
国民多数の支持をベースに進歩(または民主改革)政権がスタートできた機会は、6月抗争直後の1987年のみだった。軍部出身の盧泰愚(ノ・テウ)民正党候補(36.6%)が勝利したその年の大統領選挙で、金泳三(キム・ヨンサム)・金大中の二人の野党候補の支持率合計は55.1%で、半分をかるく超えた。今年の大統領選挙は30年ぶりに初めて進歩陣営が自力で国民の過半数の支持を得て改革を押し進めることができる多くない機会だ。共同政府であれ、連立政府であれ、または影の内閣(Shadow Cabinet)でも、進歩・市民勢力が大統領選挙の過程から共にできる枠組みを作る熟慮と努力は、そのためにも一層重要だ。