旅客船セウォル号事故の真相究明作業が再び壁にぶつかっている。今回は惨事を起こした「元凶機関」と言っても過言ではない海洋警備の安全本部(旧・海洋警察庁)まで証拠資料の提出を拒否してきたのであきれてしまう。
大統領が事故にかかる税金を口実にセウォル号の特別調査委に事実上の「妨害」をすると、懺悔しても足りないほどの海上警察まで、真相究明の邪魔だてをしだす有様だ。内部セキュリティー規定を掲げて交信音声保存装置(ハードディスク)の提出を拒否しているのだから、上位法であるセウォル号特別法違反だけでなく、事故を招いた機関としてありえない非人間的な行為といわざるをえない。
先月27日、特調委の調査官7人が仁川市延寿区の海上警察本部を訪ねて事故当時の軍と海上警察の間で交わされた周波数公用通信(TRS)を含む交信音声保存装置の提出を求めたものの、海上警察がこれを拒否して事務所に入れないでいるという。この資料はこれまでに公開された海上警察と地方海上警察庁の間の通信機録と違い、その上層部の海上警察と海軍間の通信内容で、事故後に救助に出たすべての担当機関の作業内容全般を調べることができる絶対的に必要な記録というのが特調委の説明だ。
これに対して海上警察側は「セウォル号と関係ない機密も多く、全資料を渡すことはできない」として「セウォル号に関連する内容を選んで提供するということだ」と反論した。
しかし特調委はファイルに区切りがあり、何者かが手を加えたのではないか確認しなければならず、すべて必要だという立場だ。
実際、海上警察は自分たちに不利な内容をTRS録音収録でまるごと削除・変調した前科がある。事故当日、123艇が海上警察指揮部に「旅客船に船員7人が待機中」と報告した音声ファイルがあるのに、録音収録には「船員」という単語だけ取り除いたのが代表的な事例だ。救助者が船員とは知らなかったという主張に合わせるために歪曲したのだ。
当初、検察の捜査も海警庁長官と西海長官を参考人として1度調査しただけで済ますなどなど、不十分だった点を鑑みると、起訴された123艇の上層部の責任を正すためにも、問題の保存装置は絶対に必要である。海上警察は直ちに関連機器を提出して調査に誠実に応じることこそが、わずかでも罪滅ぼしになることを肝に銘じてもらいたい。
韓国語原文入力:2016/05/29 19:04