昨年の新規登録車両183万台の半分を超す96万台を占めるほど、ディーゼル車の人気は強い。韓国国内で販売される輸入車は7割がディーゼル車だ。消費者が燃料費が安く燃費も良いディーゼル車を好むためだ。問題は、それにより大気汚染が一層ひどくなっていることにある。快晴の天気にもかかわらず、粒子状物質の濃度が「非常に悪い」を示すことが日を追うごとに増えている。
走行中のディーゼル車が実際に出す排出ガスは深刻な水準だ。「ユーロ6」基準を通過し国内で販売中のディーゼル20車種を対象に環境部が屋外道路走行中の窒素酸化物の排出量を調査したところ、3つの車種を除くすべての車種で室内認証基準値の4倍を超えた。ディーゼル車のほとんどがいわゆる「クリーンディーゼル」とはほど遠く、強化されたユーロ6基準も実際の道路走行ではディーゼル車の大気汚染を減らすのに効果がない。
しかし今のところ制裁する方法もない。実際の道路走行条件でディーゼル車の排出基準がないからだ。環境部は、排出ガス再循環装置を正常に作動しないよう操作した疑いがある日産のキャシュカイ(室内認証基準値の20.8倍)に対してだけ販売停止などの制裁を行うことにした。キャシュカイに似たレベルの窒素酸化物を排出したルノーサムスンのQM3(17.0倍)に対しては、会社側の改善策を見守るしかない。
来年9月から、韓・EU自由貿易協定により、道路走行条件でもEU執行委員会が定めた基準(現行の認証モードの排出許容基準の2.1倍)を満たしたディーゼル車の販売だけが許容される。この処置が予定通り施行されれば、ディーゼル車排出ガス管理を改善する転換点にはなる。だが、すでに販売されたディーゼル車にまで適用されないため問題は残る。
米国エール大とコロンビア大が共同調査した今年の環境成果指数によると、韓国の大気の質は世界最下位の水準だ。政府はこの事実を深刻に受け止め、まずディーゼル車による大気汚染の実態と影響を綿密に調査しなければならない。それに合わせ、ディーゼル車に有利に設計された低公害車認証制度など各種の規制・支援政策を再調整する総合対策を講じる必要もある。自動車産業は韓国経済で重要だが、業界の有利・不利より、国民の健康をまず考慮しなければならない。
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韓国語原文入力:2016-05-18 21:27