最近、韓米軍事演習のキーリゾルブ・イーグル訓練に対する北朝鮮の対応を見ていて、失笑したことがある。北朝鮮は韓米が大規模な上陸訓練「双龍訓練」を行ったことを受け、すぐに大規模な上陸と反上陸防御の練習を実施した。また、韓国がF15K、F16などの精密打撃訓練を行うと、今度は長距離砲兵打撃練習とKN06地対空ミサイルの発射で対抗した。敵の軍事行動への対応策を講じることは当然だろうが、売り言葉に買い言葉のようで幼稚さが感じられた。
北朝鮮の相次ぐミサイル発射の背景をめぐり、諸説が飛び交っている。韓米の譲歩を狙った武力誇示という分析もあり、党大会を控えて内部結集を図ったものという説明もある。しかし、キーリゾルブ・イーグル訓練時の北朝鮮の行動を見ていると、ひょっとしたら航空宇宙専門家のマーカス・シラー氏が2012年に発表したランド研究所の報告書が影響を及ぼしたかもしれないと、突拍子もないことを思いついた。シラー氏は当時、「北朝鮮核ミサイル脅威の特色」という報告書で、北朝鮮のミサイル能力に疑問を提起し、北朝鮮のミサイルが軍事手段というよりも、外交的交渉力の強化などの戦略的利点を狙ったものである可能性が高いと分析した。
その根拠としてシラー氏が提示したものには、「発射回数の不足」が含まれている。シラー氏によると、スカッド、ノドン、KN02などのミサイルのほとんどが、実戦配備前に1〜3回の試験発射を行っており、配備されてからは3〜8回発射された。中距離ミサイル(IRBM)ムスダンと大陸間弾道ミサイル(ICBM)KN08は、一度も発射されたことがない。米国とソ連などが10回の試験発射を経て信頼性を確保してから実戦配備し、毎年1回程度の発射訓練を行うのに比べると、非常に少ない数値だ。もしかすると、金正恩(キムジョンウン)第1書記の執権以降、ミサイル発射が大幅に増えたのは、北朝鮮のミサイルに対するこのような疑問に「そうではない。ちゃんと見ろ」という抗弁ではなかろうか。
北朝鮮のミサイル発射は、2014年から急激に増加した。毎年10回以上スカッドとノドンミサイルなどを打ち上げており、今年に入ってももう5回も発射を行った。ハン・ミング国防部長官は先月、あるテレビ番組で「執権5年目の金正恩(第1書記)が金正日(キムジョンイル)時代の18年間よりも多く発射している」と述べた。
北朝鮮のこのような行動が外部の視線を意識したものなら、信頼性が確保されて初めて相手への脅威となるし、だからこそ戦略的な目的も達成できるので、成果が全くないとは言えない。今月15日に初めて発射したムスダンは発射直後に空中で爆発し、中距離以上のミサイル能力に傷を残した。しかし、23日に発射した潜水艦発射ミサイル(SLBM)は30キロメートルも飛行し、数年以内に実戦配備される可能性を高めた。また、北朝鮮が異例的に公開した大気圏への再突入実験、固体燃料ロケット実験、大陸間弾道ミサイルのエンジン射出実験などは、今後、北朝鮮のミサイルがさらに深刻な脅威になるかもしれないという警戒心も刺激した。
にもかかわらず、シラー氏が投げかけた疑問は有効である。北朝鮮の国内総生産(GDP)は、中南米のコスタリカのレベルなのに、このような国が10機以上のミサイルプログラムを続けられるのだろうか。また、北朝鮮のミサイルプログラムは、1980年代のスカッドBを3年ぶりに逆設計(reverse engineering)したことから始まったとされるが、そのような優れた逆設計の能力が、なぜ他の分野に、例えば車両や産業機械、農業機械などには発揮されなかったのだろうか。北朝鮮の逆設計能力、すなわちミサイル開発能力は過大包装されているのではなかろうか。米国の中央情報局韓国支部長と駐韓米国大使を務めたドナルド・グレッグ氏は、北朝鮮を「情報機関がこれまで最も長い間、失敗した事例」として挙げた。ミサイルはどうだろうか。北朝鮮が見せるものをすべて信じるべきなのだろうか。
韓国語原文入力:2016-04-24 19:14