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中距離ミサイル「ムスダン」初発射直後に爆発…また国連決議違反

登録:2016-04-15 23:43 修正:2016-04-16 07:07
元山付近から発射 
原因点検後に追加発射の見込み 
2013年7月、平壌の金日成広場で開かれた休戦60年閲兵式に登場した中距離弾道ミサイルのムスダン=資料写真//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮が15日、元山付近の東海岸地域でムスダン(BM25)中距離弾道ミサイル(IRBM)を発射したが失敗した。ムスダンの発射は今回が初めてだ。

 北朝鮮のムスダン発射は「弾道ミサイル技術を利用した発射」を禁じた国連安全保障理事会対北朝鮮決議2270号違反になり、韓米政府など国際社会の対応が予想される。 北朝鮮当局は最大の名節である「太陽節」(金日成の誕生日)であるこの日、ムスダンの発射および失敗の事実を公開しなかった。 韓国軍当局は北朝鮮が失敗の原因を点検した後、追加発射を行う可能性が高いと見て関連動向を鋭意注視している。

 合同参謀本部関係者はこの日、「北朝鮮が15日午前5時30分頃、元山付近の東海岸で中距離ミサイル(IRBM) 1発を発射したが失敗したと見られる」と明らかにした。 北朝鮮の中距離ミサイルは射距離3~4千キロメートルと推定されるムスダンだけだ。ムスダンは発射直後の上昇段階で姿勢制御できない状態で爆発したと分かった。 米国の国防当局者も「戦略司令部が北朝鮮のミサイル発射を探知し追跡した結果、発射失敗と評価した」と話したとAP通信が報じた。

 北朝鮮がムスダンを初めて公開したのは2010年10月だが、実戦配備はこれより早い2007年と軍当局は見ている。 しかし、一度も発射した事例がなく、実際の性能は未知数だった。 軍当局者は「金正恩(キムジョンウン)が先月15日に『核弾頭の爆発試験と核弾頭の装着が可能な弾道ロケット試験発射の断行』を指示した。 今回の発射はその延長線上と見る」と話した。 今回の発射は今月1日の短距離地対空ミサイルを3発発射してから14日ぶりだ。 これに先立ち北朝鮮は、年初に4回目の核実験と「光明星4号」の発射後、先月からはスカッドとノドンミサイル、300ミリロケット砲を相次いで発射した。

 北朝鮮のムスダン初発射は米国を狙った点で注目される。 スカッド(射程距離300~700キロメートル)とノドンミサイル(射程距離1300キロメートル)はこれまでに何回も発射に成功し性能が確認されたが、作戦半径は朝鮮半島と日本に限定されている。 北朝鮮は今回、ムスダンの発射成功を通じて太平洋のグアム米軍基地まで打撃できる実戦能力を持っていることを立証しようとしたものと見られる。

 しかし北朝鮮は今回の発射失敗により、かえってミサイル能力の限界を見せた。 北朝鮮の液体燃料ミサイル技術は大きく分けて旧ソ連の「R17」(スカッドB)ミサイル系列と「R27」(SS-N-6)ミサイル系列から派生したといわれる。 R17系列はスカッドやノドンミサイルのように主に短距離用であり、すべて発射成功が確認された。 2012年12月と今年2月7日に発射に成功した「銀河シリーズ」も、ノドンミサイル4つをまとめて1段目の推進体を構成しているためR17系列に分類される。 しかしR17は1950年代に開発された旧式モデルで、その性能は制限的だ。

 反面、当初潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)として開発されたR27は、これよりはるかに進んだ技術と評価される。 ムスダンにはR27技術が採択されており、大陸間弾道ミサイル(ICBM)であるKN08とKN14にはR27のエンジン「4D10」2基が装着されたと分析されている。 スカッドやノドンのような射程距離が短いミサイルにはR17技術を、ムスダンやKN08のように射程距離が長いミサイルにはR27技術を適用したのだ。 しかし、北朝鮮は今回の発射失敗で一段階進んだR27技術にはまだ未熟であることを見せる格好になった。 当然、米本土打撃用に設計されたKN08やKN14の実戦能力にも疑問が提起される展望だ。

パク・ビョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/739932.html 韓国語原文入力:2016-04-15 20:52
訳J.S(1733字)

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