登録 : 2016.04.03 22:48 修正 : 2016.04.04 07:55

ジョン・ペッパー米外交政策フォーカス所長//ハンギョレ新聞社
 米国の著名な国際政治学者ケネス・ウォルツは、多くの国が核兵器を保有すればするほど、抑止システムもより強力になるという主張を、長い間展開してきた。その結果、核兵器の使用に慎重になり、対立を深めようとする意志も弱まるということだった。

 かつて一世を風靡したウォルツの理論は、現在、少数派となった。特に、昨年のイランとの核交渉の妥結で、ウォルツの理論は完全に間違っていたことが立証された。経済制裁を解除してもらう代わり、イランは核能力の追求を中断すると約束したからだ。

 ところが、東アジアで核兵器を巡る言説は「ウォルツ主義」に向かっている。韓国内外から、北朝鮮に核不拡散を説教し続けるような、答えの出ない状況に疲れたという声が高まっている。ウォルツの主張のように、彼らは東アジアでより多くの核兵器がより良い未来をもたらすと主張している。

 米国共和党の大統領候補ドナルド・トランプ氏も、韓国と日本が核兵器を取得すべきであり、これは米国に対する両国の依存性と、それために米国の納税者たちが支払っているコストを削減するのに、役に立つだろうと主張した。トランプ氏の他の発言のように、これも綿密な検討の上に示された立場ではない。しかし、少なくとも、トランプ氏は、米軍の大規模な海外駐留を維持すべきという、米国内の革新と保守陣営の古い合意に挑戦している。

 韓国人たちも独自の核能力の保有を嫌っているわけではない。2013年2月に行われた峨山政策研究院の世論調査によると、(調査対象の)3分の2が核兵器の保有を望んでいる。最近の韓国の日刊紙の世論調査でもほぼ同じ結果が出た。

 朴槿恵(パククネ)大統領をはじめとする政権上層部はそのような戦略を拒否したが、他の影響力のある主張が、タブー視されてきたこの問題に触れ始めている。たとえば、保守紙の朝鮮日報は、北朝鮮と公平な競争のために核兵器を保有すべきだと主張している。中国を脅迫し、北朝鮮への圧力を強化する手段として、核のオプションが必要であるという主張もある。

 このような主張は、どれも説得力があるようには見えない。まず、韓国は在来兵器において、北朝鮮に対する圧倒的な軍事的優位を保持している。また、米国の核兵器が確実な抑止力を提供している。北朝鮮は、多少なりとも韓国との軍事力のバランスを達成するために、非常に安価な核能力に投資してきた。

 韓国が核プログラムの開発を通じて、北朝鮮に対する中国の積極的な対処を圧迫することも、効力があるとは思えない。北朝鮮は中国に従っていない。また、中国は、ある程度の経済的制裁は支持するが、北朝鮮体制の変化まで推進しようとはしないだろう。これは、中国の安全保障、地方経済、脱北者の流入の可能性など、実質的なリスクと関連しているからだ。

 韓国が核兵器開発を推進すれば、最も素早く対応する国は、おそらく日本であろう。日本はかなりのプルトニウムと濃縮ウランを保有しており、2年以内に核兵器を保有できると思われる。アジアで「核クラブ」の拡散が韓国と日本だけにとどまるかも不透明だ。

 アジア諸国が意図的に互いを相手に核戦争を引き起こすとは思わない。しかし、誤った判断の危険性は常に存在している。より多くの核兵器が存在すれば、事故が発生する可能性も大きくなる。冷戦時代に世界は、核兵器による全滅を辛うじて避けるような経験を、すでに何回もしてきた。

 世界は昨年、イランとの核交渉の妥結で再び災いを防いだ。米国とイスラエルはイランの核施設に軍事的攻撃を検討してきた。さらに、イランが核クラブに入り、サウジアラビアとシリアのアサド政権が続いたなら、中東がどれほど不安定なったかは想像に難くない。

 韓国が北朝鮮の核の近くにいながら(自らが)危ういと感じているのは、理解できる。しかし、独自の核兵器を保有したとしても、そのような不安感からは逃れられない。冷戦時代の米国がそうであったように。真の解決策は、方程式から核兵器を減ずることであって、加えることではない。

ジョン・ペッパー米国外交政策フォーカス所長(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-04-03 19:02

http://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/738043.html訳H.J

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