10年間、2万ドル台から抜け出せず
韓国ウォン基準では3千万ウォン突破
韓銀「昨年の為替レート上昇のため」
根本要因は成長率の鈍化
投資率下がり貯蓄率は上がる
今年も経済活力弱化が続く
3万ドル到達予想は容易でない
韓国の1人当り国民所得が6年ぶりに減少し、10年続く「2万ドルの罠」からの脱出がさらに遠のいた。 韓国ウォン基準では初めて3千万ウォンを超えたが、国際比較による「先進国追跡」にはブレーキがかかった。
世界銀行の資料によれば、2014年に韓国の1人当りの国民所得の順位はスペインに次ぐ42位だった。 40位のイタリアは当時3万4270ドルだった。 3万ドルになっても30位圏内に入れない状況で、国民所得が増えるどころか減った。 先進国は概して2万ドルから3万ドルに跳躍するのに平均10年ほどかかっている。 特に日本(4年)、ドイツ(6年)、米国(9年)と比較すると、韓国の国民所得増加速度が一層緩慢に感じられる。
韓国銀行は今回の減少を主に為替レートによるものとした。 2014年に1ドルが平均1053ウォンだったウォン・ドル為替レートが、昨年は1131ウォンに上がったため、国民所得のドル換算額が減ったのは当然ということだ。 しかし、通貨価値も経済力を反映するという意味で十分な説明にはなりえない。 反対に、為替レートが低い期間は、その影響で国民所得が増えたという話になる。 結局、大きく見れば為替レートの変動は「技術的要因」の性格を帯びる。 昨年の韓国の実質国内総生産(GDP)増加率が2.6%で前年(3.3%)より下がるなど、経済成長の勢いが鈍化したことが国民所得の増加が鈍った根本要因といえる。 韓銀のチョン・スンチョル経済統計局長は「輸出の鈍化も国民総所得減少に影響を与えた」と話した。
投資比重が下がり貯蓄率が上がったことも、経済の活力が下がっていることを示す。 昨年の国民の全可処分所得(1560兆6千億ウォン)のうち国内総投資率は28.5%で、前年より0.8%下がった。 外国為替危機当時の1998年(27.9%)以来の最低値だ。 国内総投資率は過去40余年間にわたりほとんど30%台だったが、2013年からは20%台に下がった。 家計純貯蓄率は2014年より1.4%上がった7.7%で、2000年(8.4%)以来の最高値だ。 国民所得に労働所得が占める比重を意味する労働所得分配率は62.9%で、前年(62.8%)とほとんど同じだった。2014年にはこの比率が1.1%p上がった。
朴槿恵(パククネ)大統領は昨年の光復節祝辞で、人口5千万人と1人当りの国民所得が3万ドルを超える「50-30クラブ」に韓国が7番目に入ると謳った。 韓国は1994年に1人当りの国民所得が1万ドルを突破し、2万ドル到達には12年かかった。 しかし今の趨勢が続けば、当分は3万ドル到達時期の予想は難しいと見られる。 今年の経済成長率も2%台と予想されている上に、今年に入ってから現在までの平均為替レートも昨年より6.4%高いウォン安だ。
一方、韓銀はこの日出した報道資料で、1人当りの国民所得を韓国ウォンで表記したものを前面に出す「姑息な手」を使い、批判を浴びた。 過去には報道資料の表紙をドルだけで表記し、本文でも表のみに韓国ウォン基準の国民所得を表記した。 韓銀は為替レートの変動が激しかったためと説明したが、為替レートが低くドル基準の国民所得が上がった時はドルを前面に掲げたが、今回はドル換算額が減少したので韓国ウォン基準を前面に出した。