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過去3年間で所得階層が上がった韓国の世帯は2割だけ

登録:2016-03-01 09:13 修正:2016-03-01 14:35
階層上昇は針の穴

2011~2014年の所得階層分析
55.1%が足踏み状態、落ち込みは21.8%に
4分位と自営業者の落ち込みがより大きい

所得・資産階層の移動(資料:統計庁、単位%)//ハンギョレ新聞社

 自分の努力や能力では低所得層から中間層、または高所得層になるのがますます難しくなっていることが実証的に明らかになった。所得と資産が増えて経済的地位が高くなった世帯は、過去3年間で10世帯のうち2世帯の割合に止まった。

 統計庁が2011年から2014年まで調査した「家計金融・福祉調査」をもとに所得階層(1~5分位)の移動を分析し、29日に発表した資料によると、3年間で階層が上昇した世帯は23%に止まった。足踏み状態の世帯は55.1%、落ち込んだ世帯は21.8%だった。特に、所得4分位(2014年現在、年4800万~7230万ウォン=約440万~663万円)の場合、階層が落ち込んだ世帯の割合が33.8%になり、上昇した世帯(22.4%)より11.4%ポイントも高かった。60歳以上と自営業者世帯も、階層の上昇率より落ち込んだ世帯がそれぞれ6.1%ポイント、4.7%ポイント多かった。不安定雇用の増加、高齢者貧困の深化、蔓延した零細自営業者など、韓国社会の慢性的な問題が階層上昇の足を引っ張っている。

 不動産など資産蓄積を通じた階層の上昇が難しいのも同じだった。2012年と2015年の純資産(資産・負債)の分位移動は、18.7%しか上昇しなかった。63.1%は横ばいで、18.1%はむしろ下がった。資産も所得と同様に4分位(2015年基準で2億2900万~4億2920万ウォン=約2100万~3930万円)、60歳以上、自営業者世帯で、階層の上昇率より落ち込みのほうが多かった。

 この調査結果は、昨年11月末に統計庁が発表した国民認識の調査とほぼ一致する。当時の調査では、自分の努力で階層上昇が可能と感じる国民は21.8%だった。

 標本や調査方法は異るが、「階層上昇のはしご」がなくなった兆候は随所で確認される。韓国保健社会研究院が昨年発表した資料では、低所得層が中間層以上となった割合は、2007年の32.36%から2014年には22.6%へと下がった。

 階層上昇が難しくなれば社会の活力が落ち、社会統合と経済成長の足かせにもなる。ヨ・ユジン韓国保健社会研究院研究委員は最近発表した報告書「社会統合の実態診断及び対応策」で、韓国社会が過去躍動的かつ迅速に経済先進国の隊列に並ぶことができたのは、かなりの部分で階層上昇の希望があったため」とした上で、「しかし今は、学力、職業、階層の世襲が固定化し、階層の移動性を妨げている」と指摘した。ヨ研究委員は「良い雇用創出により労働市場で公正な分配を果たし、不平等を解消するための社会的セーフティネット(福祉)も大幅に強化する政策が求められる」と強調した。

キムソヨン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-02-29 22:02

https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/732730.html 訳Y.B

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