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[社説]独裁国家のような朴大統領の「公認虐殺」

登録:2016-03-17 08:18 修正:2016-03-17 09:22
総選挙を34日後に控えた10日、朴槿恵大統領が慶尚北道安東市で開かれた慶尚北道新庁舎開庁式で、いわゆる「真朴」候補と呼ばれるチョン・ジョンソプ大邱東区予備候補(前行政自治部長官)と握手している=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 セヌリ党が15日夜、非朴槿恵(パククネ)系議員を多く公認から脱落させたのは、韓国の政党史上で最悪の場面の一つに記録される。過去にも公認の軋轢が高まり大統領府の圧力が取り沙汰されたことはあるが、「大統領が気に入らない」という理由だけで、これほど多くの現役議員を公認から排除した例は見つけにくい。

 最大の標的とされた劉承ミン(<ユスンミン>ミンは日に文)議員の公認はまだ決まっていないが、すでに出された結果だけで、セヌリ党は公党とは言い難く、「朴槿恵の私党」との批判は避けられない。野党が分裂し与党が漁夫の利を得る格好になってはいるが、こうしたやり方の公認候補選びで総選挙を行うセヌリ党の傲慢さには驚かされる。

 15日夜、公認から脱落した議員らの顔ぶれを見ると、国民と党員に対し誤ったことをしたことはなく、ただ朴槿恵大統領に所信を持って立ち向かい「裏切り者」の烙印を押された人たちだ。ソウル龍山(ヨンサン)で脱落した3回当選のジン・ヨン議員は、保健福祉部長官に基礎年金公約の後退に反対して辞表を出し朴大統領の不興を買った。

 大統領に選挙公約を守るよう忠告したことが、なぜ公認脱落の理由になるのか。再選のチョ・ヘジン議員(慶尚南道密陽・宜寧・咸安・昌寧)は昨年、劉承ミン院内代表の問題が起きた時、院内副代表として劉議員と一緒に行動したというのが公認排除の理由であろう。実に稚拙な政治報復だ。

 一方、ソウル麻浦甲では親李明博(イミョンバク)系のカン・スンギュ元議員を排除し、現政府で首相指名を受けたアン・テヒ元大法院(最高裁)裁判官を単数候補に確定した。世論調査では勝算がないため、競争力のある非朴系の人物を「カットアウト」してしまったのだ。最小限の原則と基準さえ無視し、ひたすら真朴(本当の親朴)を採用するため、あらゆる手段を使う政党を果たして民主政党と呼べるのか。この党の唯一の原則と基準は「朴槿恵大統領の意志」でしかない。それをそのまま執行する公認管理委員会(委員長イ・ハング)は、文字通り女王の執事に過ぎず、政党の公式機構とは言えない。

 非朴系議員を切り落とす中、名だたる親朴のユン・サンヒョン議員をカットアウトの対象に含んだことにも憤りを禁じ得ない。金武星(キムムソン)代表に暴言を吐いたユン議員は、国会議員の資格もない人物だ。正常な党なら考える必要もなく直ちに公認から脱落させるのが当然だ。ところが、セヌリ党は非朴議員たちを“虐殺”しておき、ユン議員一人だけ含ませ、まるで非朴と親朴を同時に切り落としたかのように仕向けた。党員と国民をカカシとしか思わない傲慢な行動の極致だ。

 政権与党の体たらくは金武星代表の責任が大きい。金代表は「公認権を国民に戻す」と100%の完全な公認選挙を約束した。金代表が朴大統領と対立した時、この約束を信じ原則に従って金代表に力を貸した議員の大多数が、今回、公認から脱落した。ところが金代表は今なにをしている。側近の何人かが公認され黙って口をつぐむつもりなのか。大統領に言うべきことも言わず「血の虐殺」を傍観するだけなら、今後誰が金代表を大統領候補と思うだろうか。責任ある政治指導者なら、誤った公認を正すための努力をしなければならない。でなければ国民が正すしかない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-03-16 19:41

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/735284.html 訳Y.B

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