朴槿恵政権初の国定教科書
小学校6年生の社会、最終版の分析
「誤り93カ所、偏向した記述31カ所を発見」
光州5・18民主化運動に関する記述から
「戒厳軍」「発砲」消える
朴槿恵(パククネ)政権で初めて発行された国定歴史教科書における事実の誤りと偏向した記述が124カ所に及ぶばかりか、維新(朴正煕<パクチョンヒ>政権の軍事体制)関連の記述を以前よりも減らすなど、朴正煕政権への偏向性も強くなったという歴史学界の分析結果が発表された。
民族問題研究所や全国歴史教師会など7つの歴史団体で構成された歴史教育連帯会議(連帯会議)は29日、ソウル中区のソウル市NPO支援センターで記者会見を開き、「小学校6年生(1学期に使用する)社会(歴史)教科書」最終版(以下、最終版)を分析した結果、誤り93、偏向した記述31の合わせて124の記述から問題が発見された」とした上で、「朴正煕政権については好意的に取り上げており、記述そのものが増えたことも特徴」と指摘した。今月の新学期から小学校6年生が使用するこの教科書は、2011年の教科書を5年ぶりに改訂したものだ。現在、小学校は国定教科書体制にある。
連帯会議は「基礎的な歴史事実すら間違っている部分が最終版で数カ所見つかった」ことを明らかにした。例えば、91ページの 三一運動デモ発生地域を表した地図の場合、根拠が明確でなく、間違った場所が多いというのが連帯会議の説明だ。三一運動は、全国232府・郡のうち218カ所で起きたが、地図に表示されたところは100カ所ほどだ。
また連帯会議は、「最終版では李承晩(イスンマン)・朴正煕元大統領(および政権)に対しては、それぞれ14回、12回言及されている一方、金泳三(キムヨンサム)・金大中(キムデジュン)・盧武鉉(ノムヒョン)・李明博(イミョンバク)元大統領や政権の名前は一度も言及されていない」とした上で、「政治的偏向性の典型」と指摘した。李明博政権当時の2011年に発行されたこれまでの教科書(以下、2011年版)と比較しても、こうした特徴が目立つ。2011年版では、朴正煕元大統領や政権と関連した叙述は4回に過ぎず、ほとんどが維新体制と朴正煕大統領死去などの“影”にかかわるものだったが、今回の教科書では、経済成長などの肯定的な記述が目立つ。また2011年版には、金泳三・金大中元大統領の写真を並べて配置し、それぞれ「初の文民政権」と「初の野党出身の大統領」と記しているが、今回の教科書からは削除された。
維新体制に対する記述も、以前よりも簡略化された。2011年版では「維新憲法は、国会議員の3分の1と裁判官の任命権、緊急措置権、大統領間接選挙など、大統領一人に力が集中され過ぎた内容が多く、野党と市民の強い反対に直面した」などと記述されていた。しかし、今回の最終版では、「長期政権が可能となり、政治的に強大な権限が大統領に集中した」と簡単に説明している。
全斗煥(チョンドゥファン)政権に関連しては、2011年版と2014年の実験版にあった「軍事独裁」という言葉が削除され、光州5・18民主化運動の部分で「戒厳軍」と「発砲」の表現と関連記述が消えた。実験版にあった日本軍「慰安婦」の用語と関連写真も削除されたことが最近確認され、問題になった。この教科書は、来年に発行される中高校国定歴史教科書の基調を事前に確認できる体験版として、歴史学会の注目を集めてきた。全国歴史教師会のキム・テウ会長は「国定教科書というシステム自体が自律性と中立性を深刻に侵害するという懸念と指摘が確認された」と述べた。
教育部はこれに対し、「小学生の発達レベルなどを考慮して記述しただけで、誤りや偏向とは言い難い部分が多い」とした上で、「執筆陣と相談して連帯会議の発表内容について詳しく反論した資料を出す」と明らかにした。
韓国語原文入力:2016-02-29 21:30