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[社説]セウォル号特検を無視して「国民の命」を口にするのか

登録:2016-03-05 08:03 修正:2016-03-05 08:11
セウォル号事故犠牲者遺族と市民社会団体などで構成された「416家族協議会」と「4月16日の約束国民連帯」メンバーが18日午前、国会正門前で記者会見をしている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 朴槿恵(パククネ)大統領はセウォル号の惨事から1カ月後の2014年5月16日、遺族と面会して「(真相究明のための)特別法は必要とみられ、特検もすべきだ」と述べた。以来、与野党は特検導入を含んだセウォル号特別法で合意した。ところがセウォル号の特検任命が国会で立ち消える危機に陥っている。セヌリ党が国会議論を事実上拒否しているためだ。一言で言えば、朴大統領とセヌリ党が自らの発言と約束を覆しているのだ。

 セウォル号の惨事の遺族は当初、特別調査委員会(特調委)に捜査・起訴権まで与えることを要求していたが、セヌリ党が強く反対し、土壇場で与野党は特調委に捜査・起訴権を与えない代わり、特検を導入して特検選定に遺族の意見を反映することにした。これによって与野党が合意した特別法を遺族は受け入れた。今になってセヌリ党は特検選定に遺族の意見を反映する問題は二の次として特検導入自体を邪魔している。最小限の良心すらない行為である。与野党間の見解の違いが大きなテロ防止法は一方的に押しつけながら、自ら合意した事案は後まわしにするのだから、これほどつじつまが合わないこともない。

 朴大統領も同じだ。国民の生命と安全のためにテロ防止法の処理が至急だと主張しておきながら、300人を越える国民が一度に命を失った大型惨事の真相究明にこれほど消極的でありえるのか。セウォル号の惨事は我々が被ったいかなるテロより大勢の犠牲者を出した。これに教訓を得て安全な社会を作る事は国民の命を守ることで、テロ防止に劣らず重要なものである。セウォル号の特調委の活動を積極的に支援することができないばかりでなく、執拗に邪魔してついに特検まで反故にしようとする政府・与党の態度にあきれる。今国会の任期は終わっていない。臨時国会を招集してでもセウォル号の特検案を至急処理すべきである。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016/03/04 19:25

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/733407.html 訳T.W

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