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[社説]アルファ碁ショックの教訓

登録:2016-03-14 06:52 修正:2016-03-14 08:25
米オレゴン州のザ・ダレスに設置されたグーグルデータセンターで社員がサーバーの中央処理装置(CPU)を検査している。グーグルは米国、欧州、アジアなど世界14カ所にデータセンターを置き、2006年に12億ドルをかけこのセンターを建てた=グーグル提供//ハンギョレ新聞社

 プロの囲碁棋士の李世ドル(<イセドル>ドルは石の下に乙)九段とグーグルの人工知能プログラム「アルファ碁」が繰り広げた世紀の対決で、アルファ碁が3連勝して勝ちを収めた。李九段は4局目でついに勝利したが、これまでアルファ碁が見せつけた冷静かつ優秀な機能に対する衝撃と驚きはあまりに大きかった。これからは衝撃と驚きの気持ちは落ち着かせ、人工知能が私たちの人生と未来に投げかける意味を冷静に探ってみるべきときである。

 なにより人工知能は避けられないすう勢だという事実は誰もが否定しにくくなった。嫌だから避けたり、恐ろしいから拒否するという流れではない。人工知能が明らかに人の暮らしに影響を与える面も多いだろう。先端医療の技術と組み合わせたり、極限の作業環境において人間にとって代わることも可能である。自動運転の自動車のように、日常の在りようを根本的に覆すこともありうる。グーグルだけでなくIBM、マイクロソフト、アップル、フェイスブックなどのグローバル巨大企業が莫大な投資を昔からしてきたのは、人工知能の潜在的価値や産業的可能性を早くから見通してきた結果だ。政府や企業の動きがひどく遅れている我々韓国では、今回のことは刺激や反省の機会にするだけの価値はある。

 しかし人工知能がもたらす世は、数多くの問題にぶちあたらざるを得ないという点もまた明白だ。まずは仕事に及ぼす影響は背筋が寒くなるほどだ。ただでさえ経済の構造変化によって雇用問題は多くの国で重要な社会問題になっているというのに、人工知能が普及すると、人間の労働力を締め出すスピードは一層高まるほかない。人工知能が戦争や違法行為など人類普遍の価値や倫理から外れたことに使われる可能性も完全には排除できない

 人間が開発した技術は決して「中立的」ではないということは、人類の長い歴史で繰り返し確認されてきた真理だ。アルファ碁だけでも1202個の中央処理装置(CPU)と176個のグラフィック処理装置(GPU)と1000個のサーバーで構成されたクラウドコンピューター体制である。莫大な資本を集中できるグーグルのような巨大企業こそ手にすることができる21世紀の「生産手段」だ。人工知能にともなうメリットが一握りのものに集中し、社会全体としては、むしろ深刻な格差のみを深刻化させることもありえる。人工知能がいかに大手を振るうとしても、技術の発展が生む社会格差を減らす解決策を見い出すのは結局は人間の役目である。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016/03/13 21:40

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/734773.html 訳T.W

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