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人工知能の「アルファ碁」がイ・セドル九段に勝つ

登録:2016-03-09 22:14 修正:2016-03-10 06:08
「序盤の解決能力に驚き、破格の手に再び驚いた」
イ・セドル九段が9日、ソウル鍾路区のフォーシーズンズホテルで開かれた人工知能囲碁プログラム「アルファ碁」との5回戦初対局で小目に初手を置いている =グーグル提供//ハンギョレ新聞社

 投了後、イ・セドル九段はぎこちなく笑って対局場に座ったまま勝負を復碁し始めた。 悔しさがにじむ表情だった。 しかし一緒に復碁する相手はいなかった。 人工知能囲碁プログラム「アルファ碁(AlphaGo)」の指示に従い、この日イ九段の前で碁を打ったのは台湾系の英国人であり、グーグルディープマインドの職員でアマ六段。 だが、彼との復碁はできない相談だった。 機械を相手に人間を代表してひとりで対局場に入り、予想外の敗北を喫したイ・セドルは孤独に見えた。 40分後、イ九段は複雑で苦し気な表情でメディアブリーフィングルームに入ってきた。

黒番イ・セドル九段、白番アルファ碁。 中盤、黒が左中央に大きな陣を取り状況が不利になると、アルファ碁は右辺の黒の領域に白(102手)を打ち浸透した。この勝負手でイ・セドル九段は劣勢に立たされた(上)。1~186手までの棋譜。アルファ碁が中押し勝ちをおさめた(下) //ハンギョレ新聞社

 「ハハ」かすかに笑ってみせた彼は「負けるとは思わなかったのでとても驚いた」と初めての所感を明らかにした。 彼が驚いたのは二点だ。 アルファ碁の序盤解決能力と虚を突く決定的な手だ。 彼は「どうしても序盤はアルファ碁は苦しいのではないかと思っていたが、解いていく能力は驚くべきものだった。 また、互いに難しい碁を打つのではないかと思っていたが、勝負手のようで(その一方で)まったく考えられない手が出て来て、再び驚いた」と話した。 実体もなく実力もベールに包まれた相手が見せた一手一手に驚きながら対局に臨んだということだ。 彼が対局場で感じた当惑をそのままに伝える内容だ。

対局後40分間、席を離れられず
「負けるとは思わなかったが
ショックだが楽しく負けた」
アルファ碁の決定的な第102手
「勝負手のようで…
だが全く考えられない手」

 イ・セドル九段はアルファ碁が白黒合わせて102手目を見て、10分以上の長考に入った。 左中央に黒が広い陣を占め、形勢不利と判断したアルファ碁が出した勝負手だったためだ。 この手は囲碁の専門家たちを含め対局当時に誰も予想しえない破格の一手であった。 この日の公式解説を担当したキム・ソンニョン九段も「イ・セドル九段はアルファ碁ときっ抗した形勢を維持しながらも勝機を感じていたが、アルファ碁の打った102手に(イ九段が)驚いたようだ」と説明した。

 アルファ碁のこの勝負手と今後の対局について、イ九段は「(序盤の)布石で失敗したことと、驚くべき手が出てきたが、そうした点さえ補完すれば私に勝ち目があると思う。 今後は(勝利の可能性は)五分五分ではないかと考える」と話した。

 イ九段自身もこの日の敗北についてショックを隠せない様子だったが、世紀の対決を楽しんでいると話した。 「負けたことはショックだが、とても楽しく打てた。 今後の囲碁も期待できる。 アルファ碁の挑戦を受けたことは全く後悔していない。 今日は負けたが明日は自信がある」と覚悟を固めた。

 イ九段にとりアルファ碁とはどんな存在かという質問に、あごに手を当ててしばらく考えた後、「本当に驚きをくれたアルファ碁だが、まだどんな存在かを正確に言うことは難しい」と答えた。イ九段はアルファ碁を開発したグーグルディープマインドに対する称賛も忘れなかった。 グーグルディープマインドのデミス・ハサビス最高経営者とデービッド・シルバー開発者が「イ・セドル九段に尊敬を表する」と言うと、イ・セドル九段は「このような驚くべきプログラムを作ったお二人に深い尊敬の念を伝えたい」と応じた。

クォン・スンノク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/sports/sports_general/734211.html 韓国語原文入力:2016-03-09 20:58
訳J.S(1758字)

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