自ら学習するマシンラーニングで
世界のすべてのデータ構造化が目標
アルファ碁の活躍で拡張加速化
学習を通じ抽象化まで描く
自律走行車・知能ロボットは実用化
9日からイ・セドル棋士とアルファ碁の対決が行われているソウル光化門(クァンファムン)のフォーシーズンズホテルは、連日グーグルの人工知能開発首脳部が移ってきた感じだ。 グーグルの持株会社であるアルファベットのエリック・シュミット会長、ディープマインドで「アルファ碁」の開発責任者を務めるデービッド・シルバー氏、同じくディープマインドのデミス・ハサビス代表、グーグルを代表する天才開発者として著名なシニア・フェローのジェフ・ディーン氏など、グーグル本社でも会うことが難しい面々が勢ぞろいした。 グーグルは100万ドルの対局料をかけて、すでに数百~数千倍の広報効果を得たもようだが、イ・セドル棋士とアルファ碁の対局がグーグルにとって持つ意味は碁盤に留まらない。 シュミット会長は対局前日の8日の記者懇談会で「どちらが勝とうが結局勝者は人間だ。 人工知能技術を発展させていけばより良い世界になるだろうし、私たち皆に役立つだろう」と話した。
インターネット検索と広告をベースに出発したグーグルは、ユーチューブやスマートフォンなどインターネットとモバイル分野を超越して、ウェアラブル機器、自動翻訳、自律走行自動車、知能型ロボットなど多様な未来産業に事業を拡張している。 タコ足式拡張ではなく、新しい分野を切り拓いて実質的な事業モデルを着々と準備しているように見える。 時価総額600兆ウォン(約57兆円)内外で、アップルと世界首位の座を争っている。 9日、ニューヨーク証券市場でグーグルの株価はアルファ碁の勝利が反映され1.66%上がった725ドルを記録した。
デジタル分野の先端産業を切り拓き自ら最大の受恵者であることを示してきたグーグルにとり、今回の対決は極めて重要だ。 アルファ碁が見せた神経網基盤のマシンラーニング(機械学習)能力は、今後グーグルのすべての事業分野が途方もない動力を持ちうる“絶対エンジン”であることを意味するためだ。 数十年間にわたる人工知能研究は、過度な期待と低い成果で熱くなったり冷めたりしてきたが、グーグルが最近見せた“機械が自ら学ぶ”マシンラーニングとディープラーニングは、人工知能の発達を阻んできた敷居をほとんど乗り越えたと評価されている。
ガリレオが「自然は数学という言語で書かれた本」と見たのが近代科学の出発点ならば、グーグルは「世の中のすべての情報を最大限組織化し、これを有用なものにすること」を目標にしている。 スマートフォンとインターネットのおかげで、ほとんど全てのものがデジタルに変わり、膨大なデータが生成されている。 この環境では人が教えなくとも自ら学習しデータを構造化してこれを知能的サービスに結びつける能力は、グーグルが追求してきた“聖杯”のような存在だ。 自律走行自動車と知能型ロボットのカギも、人が教えなくとも機械が自ら学習する能力を備えられるか否かにかかっている。 グーグルは2012年、何の情報も与えない写真からコンピュータがマシンラーニングを通じて猫の写真を識別できるディープラーニングを開発した。 2015年にはアルファ碁開発の母胎になった、自ら学びゲームができる強化学習機能(DQN)をネイチャー誌に発表した。 コンピュータが複雑なイメージを読み取り人間のように自動で説明する機能も実現した。
ジェフ・ディーン氏は9日の記者懇談会で、グーグルのマシンラーニングがどのように活かせるのかを例示した。 カメラを着けたロボットの腕が初めて見る物体を無作為に摘み上げ、子供のように自ら学習して1、2回で上手になる映像を公開した。 ディーン氏は「現在、グーグルサービスの20~50%に適用されたマシンラーニングが急速に増加していて、人間よりは低水準ながら自ら訓練を通じて簡単な抽象化能力を実現している」と話した。
アルファ碁が見せた人間を凌駕するマシンラーニング能力は、世の中のすべてのデータを構造化しサービス化しようとするグーグルの遠大な目標にグーグルが近接していることを誇示するツールになっている。