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[寄稿]なぜオバマ大統領が慰安婦問題に介入するのか

登録:2016-01-11 08:01 修正:2016-01-11 08:02

 昨年12月28日、韓日両政府は、慰安婦問題に対する日本の責任についての明確な謝罪表明もなく「最終的かつ不可逆的」な合意をした。慰安婦ハルモニ(お婆さん)たちと市民団体は激しく反発し、再協議を要求してきた。駐韓日本大使館前の少女像を移転することで日本が10億円を拠出することにしたという日本のマスコミ報道は、私たち国民を激昂させることになった。慰安婦問題合意に対する反発と再協議の要求が野党、宗教界、大学、海外海外同胞社会にまで広がっている。中国のマスコミでは韓国を冷笑する雰囲気で報じらている。

 朴槿恵(パククネ)政権が窮地に追い込まれると米国政府が慰安婦合意を称賛し始めた。合意発表直後、国務長官とホワイトハウス国家安保補佐官が待っていたとばかり「韓日両政府が敏感な過去の歴史問題である慰安婦問題に関連し合意を導き出したことを歓迎する」と発表した。1月7日には大統領まで出てきた。北朝鮮の4回目の核実験の対応策を議論するため朴大統領と通話したオバマ大統領は、「正しい結果を勝ち取った朴大統領の勇気とビジョンを高く評価する。米国は合意履行を積極的に支援するだろう。慰安婦関連の合意妥結は北朝鮮核実験という挑戦に対する韓米日の共同対応能力を強化させる」と述べた。慰安婦合意が「正しい結果」? それがどう北朝鮮の核と関連して韓米日共同対応能力を強化させるというのか。そして韓日の過去の歴史問題に対する合意履行を米国が支援するというのは、いったいどういう意味なのか。

 安倍首相と通話したオバマ大統領は「慰安婦合意で韓米日が協力して国連でも力を発揮できることになった」と述べた。そこで安倍首相は衝撃的なことを言った。「慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に合意したことに対し、米国の理解と協力に感謝する」と話したのだ。米国の理解と協力に感謝…。これは米国が慰安婦問題で日本に有利になるよう水面下で操縦したということを意味しまいか。ここまでくると、交渉は韓日が行ったものの、実際には米国の企画と指揮下で交渉が進められたという話になる。

 であるなら米国は、なぜ慰安婦問題に積極的に介入したのか。どう考えても、急速に経済・軍事大国になりつつある中国を牽制しなければならない米国の対中政策に関連しているようだ。米国は、第二次大戦後に東アジアに構築した既得権に挑戦する中国を牽制しなければならないが、その米国は今「財政の壁」に直面し自力でそれができない。その解決策が、日本の右傾化を黙認し自衛隊の海外派兵まで保障して米日同盟を強化することだ。そして、そこへ韓米同盟を結びつける。こうした中国牽制のための韓米日共助体制を強化する必要があるのだが、慰安婦問題で韓日関係が揺らぎ焦った米国が、直接、韓日が合意を導き出すよう促すことになったのだ。中国の韓国に対する冷笑は、こうした韓米日の動向と無関係ではない。

チョン・セヒョン金大中平和センター副理事長・元統一部長//ハンギョレ新聞社

 朴槿恵政権は韓日国交正常化50周年を越させないとする名分を掲げ、12月28日に急きょ慰安婦問題を収束させたが、現実には、米国高官がすでにその本心を明らかにしていた。 韓日合意12日前の12月16日、ホワイトハウスのアジア担当主任補佐官は韓国のあるメディアとのインタビューで「韓米日協力は大変重要だ。そこで我々が韓日が互いに柔軟性と勇気を発揮し、歴史問題の解決のための前向きな接近をするように促す」と述べた。米国人は時としてかなり率直だ。

 盧武鉉(ノムヒョン)政権の努力で2012年4月17日に韓国が米国から戦時作戦権を移管されることになっていた。だが李明博(イミョンバク)政権が移管日程を2015年末に先送りし、朴槿恵政権は移管日程でなく遺憾協議そのものを2022年以後に先送りしてしまった。国民の自尊心と直結する韓日の歴史問題で最も敏感な問題まで私たちの思い通りに交渉できず、米国の対中政策の一環として処理されるのを目撃して万感が交差する。軍事主権を米国に預けているので、外交でも主権的措置をとるのが困難になったのではないかという気がしてならない。国の地位が貧弱になっている。

チョン・セヒョン平和協力院理事長・朝鮮半島平和フォーラム常任代表(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-01-10 18:56

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/725499.html 訳Y.B

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