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[寄稿]米国が態度を変えねば南北に転機は訪れない

登録:2015-12-23 23:36 修正:2015-12-24 06:26
南側首席代表のファン・ブギ統一部次官が12日午後、北朝鮮の開城工団総合支援センターで開かれた第1回南北当局会談の結果を発表するために記者室に向かっている=開城/写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 今年のクリスマスにも、朝鮮半島にはサンタが来ないだろう。

 今年、朝鮮半島は統一という贈り物も、平和というプレゼントも、もらえないだろう。丹精を尽くして求めていないのに、サンタが持って来てくれるはずがない。泥棒のようにひそかにも、大当たりのように突然にも、訪れるはずなんてないのだ。

 南北首脳会談云々して始めた2015年は、しっかりとした南北会談も開けないまま、幕を下ろすことになった。 8月初めに地雷の爆発によってもたらされた危機的状況の中で、劇的に「2+2会談」が開かれたことはあった。そのおかげで、離散家族の再会が一度実現された。だが、それだけだった。

 今のところ、来年にも会談が続くという保障もなく、離散家族の再会も引き続き行われるだろうという希望も持てない。今年の後半、散発的に行われた南北労働者統一サッカー大会のような民間交流が、再開されるかどうかも不透明だ。

 今年の初めから拗れた朝米関係は、さらに複雑に絡み合っている。南北が「最高位級会談」と「当局間対話」の可能性を示唆した翌日の1月2日、オバマ政権はソニーのハッキングを理由に北朝鮮の団体と関係者に制裁を加えた。

 にもかかわらず、北朝鮮は1月10日、朝鮮中央通信の報道を通じて 韓米合同軍事演習を一時的に中止したら、核実験も一時的に停止できるとして、米国に対話を提案したと公開した。するとジェーン・サキ国務省報道官は、これを直ちに拒否した。「通常の軍事演習と北朝鮮の核実験の可能性を不適切に結びつけた」のは、「暗黙の脅迫」ということだった。

 10月には、北朝鮮のリ・スヨン外相が公開的に対話への意志を示した。国連総会の演説で、米国が「停戦協定を平和協定に変えるのに同意するなら」、「建設的な対話」をする用意があると提案した。「条件付き対話」の提案だった。

 米国は11月19日、国連総会第3委員会で、北朝鮮の人権に関する決議を、12月17日には、国連総会で北朝鮮の人権に関する決議を公式採用するのに主導的な役割を果たすことで、(その提案に)答えた。

 12月8日には、米国務省が1年前のミサイル試験を理由に北朝鮮の戦略軍司令部を制裁対象のリストに載せた。同日、米財務省は、北朝鮮の個人6人と3つの機関を制裁対象に指定した。また、サマンサ―・パワー国連大使は、国連安全保障理事会で北朝鮮の人権問題を議論する予定だと発表した。

 オバマ政権が、なぜこの日に国務省や財務省、国連大使まで総動員して北朝鮮を強く圧力したのかは、定かではない。当時、北朝鮮が核実験を進めていた兆候もなく、急いで警告を送るべき特異な軍事的な動きを見せたわけでもなかった。だからこそ米国の措置は、さらに突拍子もないものに見えた。もし、3日後に控えた第1次次官級南北当局会談に与える波及効果を考慮していなかったのなら、米国の対北朝鮮政策の決定過程に問題があると言わざる得ない。

 実際に、5日前の12月3日には、6カ国協議の韓米日首席代表の会談があった。3カ国が政策を調整する機会があったのだ。その調整の内容は、会談直後、6カ国協議韓国首席代表であるファン・ジュングク平和交渉本部長が明らかにした。「国際社会が引き続き断固たるメッセージを発信する必要があり」、「安保理制裁の実効性を向上していく」ことに合意したというものだった。

ソ・ジェジョン国際キリスト教大大学政治・国際関係学科教授//ハンギョレ新聞社

 制裁を強化することが韓米日の政策となったのだ。もちろん「条件のない探索的な対話」に応じるように、対話への道を開いてはいる。北朝鮮が非核化措置を取ってから、対話をするか否かを協議してみるということだ。

 制裁の強化が基調になったからには、金剛山観光はより困難になるだろうし、朝米対話どころか、南北対話が実現するはずもない。対話もなく平和を求めるのは、いい子にしていなかったのに、サンタさんのプレゼントを待っているようなものだ。

 今年のクリスマスにサンタが朝鮮半島を訪れることはないだろう。韓国が“いい子”にならない限り、来年にもサンタを見ることは難しいかもしれない。

ソ・ジェジョン国際キリスト教大大学政治・国際関係学科教授 (お問い合わせjapan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-12-23 18:40

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/723191.html 訳H.J

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