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[社説]露骨な選挙介入に出た朴大統領

登録:2015-11-11 07:02 修正:2015-11-11 14:12
朴槿恵大統領//ハンギョレ新聞社

 朴槿恵(パク・クネ)大統領が大統領府で開かれた10日の閣僚会議で、来年の総選挙を睨み、「偽りのない人を選んでほしい」と語った。耳を疑うほど不適切な発言である。与野党を問わず念頭にした朴大統領のこの対国民メッセージは、選挙の政治的中立義務を破ったばかりか、セヌリ党内部の公認にまで露骨に関与した。

 朴大統領は野党はもちろん、セヌリ党の中でも自分の意思に逆らう人はすべて「偽りのある人」と規定してしまった。国会法改正案をめぐり軋轢が生じたユ・スンミン前院内代表を「背信の政治」と追い詰めたことを考えれば、朴大統領が言う「偽りのない人」の意味は容易に察せられる。最近、与党内では大邱(テグ)・慶尚北道地域の総入れ替え論が急速に広がっている。チョン・ジョンソプ行政自治部長官をはじめとした、いわゆる「朴槿恵の人」がぞろぞろ出始め、出馬の支度を急いでいる。朴大統領のこの日の発言は、来年の総選挙出馬を準備している自分の側近に対する公開的な援護射撃に他ならない。

 総選挙での総入れ替えや現役議員に対する審判自体は批判されるべきことではない。しかし今、セヌリ党で展開している総入れ替え論は、こうした正常な政治とはおよそかけ離れたものだ。総入れ替え論で最初から最後まで一貫する単語は「朴槿恵」だ。総入れ替えの実体は、朴大統領が影響力を発揮し、自分の味方を自らの政治勢力に引き込むためのものでしかない。セヌリ党公認の重要な基準の一つが、ユ・スンミン議員との交流という話まで出回るのだから話にならない。

 朴大統領の公認介入意志が露骨になり、セヌリ党内では「公認権を国民に委ねる」という言葉も聞こえなくなった。こんな旧時代的政治に朴大統領は「偽りのない人」という仮面までかぶせて当選させようとしている。

 朴大統領の最近の国政運営や発言内容を見ると、日が進むにつれ正常な軌道を外れていると憂慮せざるを得ない。現職大統領が直接乗り出し、野党はもちろん与党内の非主流人物に対する落選運動を広げるなど考えられないことだ。故盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は「国民が総選挙で『開かれたウリ党』を支持すると期待する」という発言をして、当時野党だった現セヌリ党などに弾劾訴追された。朴大統領の発言に込められた罪の深刻さは、盧元大統領とは比べものにならない。ブレーキのきかない汽車で暴走する朴大統領をどうすべきか。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-11-10 18:26

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/716788.html?_fr=mt1 訳Y.B

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