登録 : 2015.09.03 00:02 修正 : 2015.09.06 07:03

イラストレーション=キム・テジュン //ハンギョレ新聞社

 朴槿恵(パク・クネ)政権は自己矛盾そのものだ。 一面から見れば、この政権は前の政権に比べて“統一”をはるかに活発に論じてきた。 早くから「朝鮮半島信頼プロセス」を言及してきたし、「統一大当たり論」も一時は話題になった。 昨年から大統領直属の統一準備委員会まで発足したので、大統領が本当に統一に現実的な関心を持っていると一部では評価された。 しかし他方では、朴槿恵大統領の一言一句、行動を逐一見ると、この人が本心から統一を望んでいるのか疑いを抱かざるを得ない。 さらに「北朝鮮崩壊論」を暗示するような発言を繰り返し、未だに吸収統一の夢を捨てられずにいるような印象を与える。 そして、何よりも“強硬”一辺倒になりがちな北朝鮮に対する姿勢は心配で仕方が無い。 問題の木箱地雷を北朝鮮軍が埋設したと主張するだけの十分な根拠があるならば、南北共同調査や中立的国際調査を提案してみるのが順序ではなかったか? 「苛酷な代価」のような発言は、果たして統一を早めるだろうか? しかし、この問題は朴槿恵一人だけの問題というよりは、韓国の支配層全体の問題に思える。 韓国の支配層には、北朝鮮が次第に中国経済圏に編入されて行くことが機会喪失と感じられ危機感を与える。しかし、だからと言って彼らが真剣に統一準備に乗り出す姿勢は全く見られない。その理由は何か?

韓国支配層は内部同質性の強い排他的集団だ。
問題は、自身が所有している個人会社のように
韓国を考えているあの“インナーサークル”が
誰かと何かを分け合った経験がないということだ

支配は徹底的に独占的で排他的だ。
合意型統一とは、起源を異にする北朝鮮の支配層との
“権力分割”を意味するはずだが
彼らは誰とも権力を分け合うつもりはない。

分け合うくらいなら、むしろ分断の永久化の方が
彼らには都合良く見える
従って民衆の圧迫だけが統一を持たらしうる

 第一に、“理念”の問題ではないだろう。韓国にも北朝鮮にもそれぞれ巨大談論次元の理念は厳然としてあるが、その理念は実質的な暮らしの現実とはほとんど関係なく、対外政策にも影響を及ぼさない。 中国などへの資源供給者という北朝鮮の北東アジア経済システムでの位置を、果たして主体思想の次元で説明できるだろうか? 同じように、韓国の住民たちに憲法で保障されている“自由”とは、理論的にはあっても彼らが日常の中で出会うのは“学校”や“企業”という名の“独裁国家”だ。 非キリスト教徒に対しても礼拝への出席を義務化している各種“ミッションスクール”を見よ。 彼らにとってすべての国民が宗教の自由を持つという憲法20条は何か意味があるのか? 韓国の政治家たちは“自由民主主義”を振りかざすが、韓国財閥にとって最もビジネスがしやすい社会は、まさに唯一の政府与党が労組まで“指導”する中国だ。 同じように、抗日闘争という過去をその執権体制の名分とする北朝鮮が、実質的に最も熱望するのは対日修交だろう。 巨大談論が何であれ、韓国と北朝鮮の支配者に共通した実質的理念は、流行語で言えば“組織文化”と呼ぶもの、すなわち個人が“組織”(支配体制)の利害関係に服従すべきで、必要な場合には犠牲を厭わない通念(?)そのものだ。政治的和解モードが確保されさえすれば、韓国財閥が先を争うように北朝鮮に“無労組工場”を建てるのは容易に想像できる。 それではこのような和解モードが太陽政策時期の数年間は確保されたが長続きしなかった理由は何だろうか?

 それを“外勢のため”と見る人が多いが、これはほんの一部の片鱗に過ぎない。もちろん外勢の立場からは分断の持続は有利だ。朝鮮半島を巡る四強体制で統一を実現するためには、統一朝鮮半島を窮極的に中露ブロックにも米日ブロックにも加担しない永世中立地域に設定することが必要だが、この「朝鮮半島中立論」を朝鮮半島に隣接した外勢が歴史的に容認したことは殆どなかった。 1904年初頭に露日戦争が勃発しようとした時、高宗(コジョン)皇帝が最初に“中立”を宣言したが、日本軍がすでに上陸していた状況で2月23日「韓日議定書」に調印するよう強要されたことは周知の事実ではないか? 大きく見ればその時から今に至るまで、朝鮮半島永世中立論が“不穏な想像”から抜け出せなかったし、朝鮮半島全体やその一部は引き続き特定外勢の植民地であったり、不公平な“同盟”関係を結ばなければならなかった。 北朝鮮は先駆的に1960年代初めにソ連と中国の影響力からある程度抜け出したが、1970年代初期に「統一後中立化」に言及してソ連指導部と水面下で葛藤を起こした話を、ソ連外交史関連書籍から読み取れる。 米国の影響から自由になったことのない韓国はどうなのか。 1960年代の米国外交文書を見ても、米国が最も心配したことは韓国の革新勢力の「中立論」だった。 そのようにして永らく親米当局者の弾圧を受けてきた「中立論」は今、韓国で非主流中野非主流に属する。 歴史の中のこのような態度を見る時、外勢の統一妨害は当然に予想される。 しかし朝鮮半島人が堅固な意志を持って朝鮮半島をフィンランドやオーストリアのような中立地域にしようとすれば、これは必ずしも不可能ではない筈だ。

 問題は、特に韓国の支配層にそのような意志が絶対的に不足しているという点にある。 このような意志不足は、南北関係の黄金期と言われる太陽政策時期にもしばしば観察された。 “太陽の光”は政治的接触と一部の人的交流、経済協力の範囲に留まった。 それ以上の問題に対しては、一部は議論されただけで、一部は議論さえされなかった。 例えば、2000年代初期に北朝鮮側が韓国側に対して、双方20万人の善意の軍隊を保有する水準までの共同軍縮を提案したことがある。ただ、その条件は「米軍の撤収」であった。 今でこそほとんど忘却されてしまったが、金大中(キム・デジュン)・盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領時期に世論調査をする度に段階的米軍撤収と米軍即時撤収を支持する国民を合わせれば40から62%までを占めていた。 このようなムードに乗って、段階的米軍撤収に対する交渉から始め、北朝鮮の信頼を得て、南北共同軍縮も段階的に実行してみることは全く不可能ではなかっただろう。 北朝鮮にも途方もない軍備節約効果があったが、韓国としても募兵制で補充可能な大きさの軍隊を持つことは、兵役に苦しめられた平民にとって途方もない慶事だっただろう。 しかし、主流政治家の中でこのようなビジョンを持つ人を発見することは、その当時でも難しかった。 南北間の書信往来・通信の許容や各自の出版物の相互流通、ひいては南北間の自由往来など、もう少しだけ急進的な議題は完全に議論から排除されてしまった。 いったい韓国の支配層が“統一”を考える上で恐れるものは何だろうか?

 答えは簡単だ。韓国の支配層は内部同質性の強い一つの排他的集団だ。主要財閥と官閥(元職首相、外交部長官など)、そして言論財閥・財閥言論を見れば、すでに日帝強制占領期から、その当時にも位についたり企業を経営したその先祖たちが、すでに自分たちだけの“ネットワーク”を作っている場合が多かった。 現在、彼らは姻戚関係で徹底的に二重三重に連結されていて、ソウルのいくつかの特定の町内で暮らし、子供を同じ学校や同じ大学に行かせている。 彼らが韓国を排他的に所有すると言っても過言ではないだろう。 財産序列上位1%が個人所有地の50%以上を所有していて、株式富者1%が時価総額の63%を所有する社会が大韓民国だ。

 問題は、彼らが所有する個人会社のように韓国を感じているあの管理者たちの“インナーサークル”が、誰かと何かを分け合った経験がないということだ。 彼らの支配は徹底的に独占的で排他的だ。 彼らが所有する企業で、労働者の経営参加権を一度でも認めたことがあるか? 労組代表数人が理事会に参加したからと言って、彼らが持っていく配当金が大きく減ることもないのに、それでも彼らは原則上彼らの権力を分ける考えは持っていないわけだ。 彼らの政治資金で暮らす主流政治家たちが独占した国会で、絶対多数の被搾取大衆を代表する政党は旗揚げできようか? 統合進歩党の運命を見れば、彼らが挑戦者をどのように扱うかを正しく知ることができる。 合意型統一とは、結局起源を異にする北朝鮮の支配層との“権力分割”を意味するが、彼らはその誰とも権力を分け合うつもりはない。 それくらいなら分断の永久化の方が彼らに好都合に見える。

朴露子(パク・ノジャ、Vladimir Tikhonov) オスロ国立大教授 //ハンギョレ新聞社

 統一を望むのは軍服を強制的に着せられ各種の沈没、爆発、海戦など分断が産んだ悲劇の犠牲になる民衆だ。 民衆の圧迫だけが統一を持たらしうる。

朴露子(パク・ノジャ、Vladimir Tikhonov) ノルウェー、オスロ国立大教授・韓国学(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-09-01 21:32


http://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/706906.html 訳J.S(3833字)

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