登録 : 2015.08.04 23:28 修正 : 2015.08.05 06:40

 30年前、高麗大や延世大の学生の間で最も流行した言葉は、「新植民地」と「従属理論」だっただろう。今その大学の学生たちの中でこの言葉の意味をまともに知っているのは何人いるだろうか? “隔世の感”以外に他の表現は思いつかない。

 中国を狙った米日の攻撃的覇権戦略に巻き込まれ朝鮮半島の戦場化の危険まで甘受するのが平和と統一へ向かう道であろうか? 自国民の生命を長期的に脅かす覇権国家の地域戦略に無批判に従うことを新植民地的状況と言えば間違いだろうか?

イラストレーション=キム・テジュン //ハンギョレ新聞社

 考えれば30年というのはそれほど長い時間ではない。 この頃のように平均期待寿命が80歳前後になった時代には、一個人が社会に出てからその期間の2倍以上の生活を送ることができる。 しかし、韓国のように近現代が圧縮された方式で実現され、進歩も退歩も超高速で行われる社会での30年は、桑田碧海が可能な時間だ。30年前の高麗大や延世大学生の間で最も流行した二つの言葉は、おそらく「新植民地」と「従属理論」だっただろう。 彼らの目には米国からの金の流れに依存する韓国企業と、米国官僚らの一言一句に笑ったり泣いたりする韓国政界、そして韓国の領土に核兵器まで備えつけた米軍の存在が、明確に“根本的問題”として見えた。 彼らはかつての独立闘士のように、このような状況を闘争で解決し自主の国で暮らしてみたかったのだ。 30年後の今、その大学の学生たちのなかで新植民地や従属理論の意味をまともに知っているのは何人いるだろうか? 今日、ほとんど誰もが当然視するその二つの大学の“デパート化”されたキャンパスや英語講義狂風を、果たして30年前の学生たちだったらどのように見るだろうか? “隔世の感”以外に他の表現は思いつかない。

 韓米関係が同等になったわけでもないのに、この非対称的関係に対する急進的不満はなぜこれほど急速に蒸発してしまったのだろうか? 理由はもちろん様々ある。 東欧圏の没落と北朝鮮の貧困国化も一役を果したし、また統合進歩党の強制解散をその決定版とする歴代政権の左派民族主義に対する弾圧も重要な役割を果しただろう。 同時に1980年代末から韓国でも外国人労働者という名の内部植民地が生まれ、韓国資本が海外の低賃金地帯にその経済領土を拡げるなど、国際的食物連鎖における韓国の相対的位置が格上げされたことも韓国人の対外観を変えたと見られる。 相変らず米国に従属しているが、今や韓国に少なくとも経済的には従属している他者が表面化し始めたのだ。しかし、何よりも新植民地に対する批判が静まった要因は、おそらく過去30年余の対米従属を土台とする政治・経済モデルが「自ら成功した」という多数の判断であっただろう。 新植民地だとしても、外国為替危機の時を除いて一貫して経済が成長してきたし、対米従属だとしても経済的に重要な対中関係をうまくやっていければ良いではないか、現実的に至難な従属性の清算は果たして至急必要なのかという判断は、保守化されゆく多数の“常識”になったわけだ。

 従属はある時点で皮相的に見れば長所に見えることもある。 問題はこのような幻想が長続きするかだ。 例えば、今最悪の経済的災難を体験しているギリシャを見よう。 災難の種は2000年のユーロゾーン加入と通貨としてのユーロの採択だった。事実上ドイツ資本の経済植民地としてユーロゾーンに加入したのだ。 初めは経済的な好況を享受した。 1980~90年代、苦戦を続けてきたギリシャ経済は、2000~2007年には年間平均4%以上の成長率を記録するなど一時的好況を見せた。 ドイツなどヨーロッパの主要な国家に経済的に従属したために借款などの形で集中投資を受けることができ、初めはユーロゾーンという名前の経済従属も悪くはないとの結論を下すほどだった。 しかし、増える借金こそが最悪の陥穽という事実がすっかり明らかになったこの期に及んで、2007年以前のユーロゾーンに対する幻想をどのように見なければならないか?

 ギリシャではヨーロッパの主要国家に対する経済的従属が災難を生んだが、韓国の対米従属ははるかに多角化されていて、ある意味では“新植民地”の定義に符合すると見なければならない。 一次的には、韓米軍事同盟が韓国領土に対する米軍の一種の軍事保護領化を可能にする。 米国が地域的安定を企てたならば、軍事保護領化の意味はまた異なるが、現在米国が指向するのは地域的安定よりは、当然に地域的リーダーに浮上しようとする中国に対する強硬牽制・包囲策、すなわち地域的安定の破壊行為だ。 最近、東アジア全体に大きな憂慮と反発を呼び起こした日本の憲法9条無力化、すなわち「戦争できる普通の国家」に変貌する再武装の試みを、中国牽制のために主導・支援してきた勢力はまさに米国だ。 米国が究極的に願うものは、中国を潜在的主敵とする米日韓三角軍事同盟の強化だ。 朴槿恵(パク・クネ)政権がこのような米国の戦略に無批判に追従している事実を、昨年7月に締結された「北朝鮮の核とミサイル威嚇に関する(韓米日三者)情報共有約定」がよく示している。 名目上は北朝鮮を対象にしているが、本格的韓日軍事“交流”が稼動すれば、北朝鮮の同盟国である中国に対する情報交換を果たして防げるだろうか? 韓日相互軍需支援協定などによる一層高い水準の韓日軍事ブロック化計画はないと韓国政府は熱心に否認しているが、すでに実務ラインでそのような交流推進のための接触が進行中という報道は何度も出ている。 中国を狙う米日の攻撃的覇権戦略に巻き込まれ、朝鮮半島の戦場化の危険まで甘受することが、平和と統一へ向かう道であろうか? 韓国政府が韓国民の生命を長期的に脅かす覇権国家の地域戦略に無批判的に従うのは、新植民地的状況だと言っても果たして間違いだろうか?

 最も恐ろしいのは、新植民地的状況が米軍の銃剣によってではなく韓国の親米支配エリートと米国との間の利害関係の一致と密接な癒着により維持・深化されているという点だ。 中国との間に葛藤の種を内包するとしても、永く米軍に依存してきた韓国軍部とすれば米軍の新しい地域戦略に無条件に従うのが自然だ。また、例えば病院の営利子会社設立許可等を通して事実上、医療民営化側に次第に政策方向を定めている朴槿恵政権の経済政策も、医療部門進出で製造業の利潤率低下を相殺しようとする韓国内大企業の利害を代弁すると同時に、米国の投資家には魅力的に見える。

 顧みれば米国をはじめとする主要国家に対する従属性が、金泳三政権の“世界化”宣言(1995年)以後の20年間で途方もなく深刻化され、国内外の資本にあまねく利益を持たらしてきた。 端的な例としては外資系銀行の韓国市場占有率は1997年には約4%に過ぎなかった。 現在、外資系銀行および海外銀行の韓国内支店の市場占有率は何と20%に達する。 韓国の国内銀行と言っても、その多くで外国(主に米国とヨーロッパ)資本は50%内外の株式を保有している。 短期収益・配当金の最大化を狙う外国資本が、韓国の金融市場で好むのは収益性の良い消費者貸し付けであり、社会的意味が大きくとも短期的収益性が悪くなりがちな零細商人支援などを懸命に敬遠するので、庶民の立場から見れば外国資本の金融市場掌握は得より損がはるかに多い。 ところが韓国国内資本の立場から見れば、金融部門の収益性増加が本人の利潤追求にも役立つので“金融植民化”に対して特別な危機感を感じない。

 韓国証券市場で外国人保有株式の比重が2014年には35%近くになった。これは日本(30%)より高い数字だ。 韓国株式の外国人保有額は、1998年に比べ何と8倍も増えて2014年に160兆ウォンに達した。 これはインドやインドネシアのような国々の株式に対する外国人投資額よりさらに多い金額だ。 短期収益を狙う主要資本の韓国進出が、窮極的に韓国内労働に対する搾取強度の向上を持たらすなど、民衆の立場からは決して望ましくないが、株価が上がることを願う韓国内投資家の立場は正反対にならざるをえない。

朴露子(パク・ノジャ、Vladimir Tikhonov) ノルウェー、オスロ国立大教授・韓国学 //ハンギョレ新聞社

 新植民地は国内支配者と国外支配者の一種の利害共同体を基盤とする。 結局、新植民地状況で被害を受けるのは、平時に各種民営化、市場化、外国資本浸潤の中で搾取され、北東アジアの国際状況が深刻化すれば銃弾避けとして徴集されなければならない韓国民衆だけだろう。 被害者である民衆こそが脱植民化のための闘争の先頭に立つべきではないだろうか? 軍事・政治・経済的従属が深刻化されていく状況では、民衆のためのよりマシな世の中が来ないことだけは確実だ。

朴露子(パク・ノジャ、Vladimir Tikhonov) ノルウェー、オスロ国立大教授・韓国学(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-08-04 18:33
http://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/703083.html 訳J.S(3790字)

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