8・25南北高位級接触の妥結を契機に南北首脳会談の可能性に関する話が出た時に、ふと先月ある中堅公職者から聞いた話が思い出された。 景福宮(キョンボックン)慶会楼(キョンフェル)の向い側にある政府ソウル庁舎昌成洞(チャンソンドン)別館にある統一準備委員会の内部事情に精通しているという彼は、「数年以内に北朝鮮に急変事態が起きることを前提に、全方向シナリオを組んでいる」と説明した。 急変事態は吸収統一を意味するのだろう。 話を聞きながらその「数年以内」という表現が「朴槿恵(パク・クネ)大統領任期内」に聞こえた。
統一準備委員会は統一準備のための基本方向を定め、その諸般分野の課題を発掘し研究する任務を与えられ昨年7月にスタートした。 委員長は朴槿恵大統領だ。 朴大統領は統一準備委員会を発足させて、分断は「朝鮮半島の正常ではない」として、統一は「朝鮮半島の正常ではないことを正常化」させることだと明らかにした。
統一準備委員会の中に「吸収統一準備チーム」があるという事実は、チョン・ジョンウク統一準備委員会副委員長が直接明らかにしたことがある。 チョン副委員長は今年3月10日、ある安保関連団体の朝食会で「統一過程には色々なロードマップがあって、非合意統一や体制統一に関するチームが私たちの組織(統一準備委員会)にある。 体制・吸収統一はしたくないと言えば起きないわけではない」と話した。
この政権になって初めて国家情報院を率いたナム・ジェジュン前院長は、2013年12月に幹部らと席を共にした忘年会で「2015年には祖国統一されているだろう」と話したという報道もあった。 彼は「私たちの祖国を自由民主主義体制で統一させるために、皆揃って死のう」と悲壮な様子で話したという。 後日その忘年会に参加したある国家情報院幹部から当時の状況を聞いたことがある。 その幹部も当時、ナム院長がそのような形の送年辞をしたことがあるとし、「いつ急変事態が起きるかもしれない。 それに対してすべての準備をしておかなければならない」と話した。
ナム前院長の「2015年統一論」が出てきた直後の昨年1月6日、朴大統領は新年記者会見を通じて統一準備委員会発足構想を明らかにし、「統一大当たり論」を明らかにした。 ナム前院長の「2015年祖国統一論」と朴大統領の統一大当たり論、そして統一準備委員会に設置された「吸収統一準備チーム」は一つの一貫した流れであり、朴大統領の判断と思われる。
朴大統領がこのような判断をしているならば、朴大統領の任期中に首脳会談はありえない。 会談は同等な関係を前提に、今後の共存と共栄を語る場だ。 しかし、相手を「まもなく崩れる」、「正常でない」状態にある存在だと判断するならば、そのような出会いをする理由はないためだ。 本当に、自身の任期中に「(吸収)統一大当たり」を果すと考えているなら、ますます首脳会談をする理由はないだろう。
しかし、実際にはそのような方式の統一は大当たりではなく「乞食」になる可能性の方が高く見える。
理由は自明だ。 一度考えて見てもらいたい。「統一が実現すれば自分は北朝鮮の住民を同等な我が国民と認定できるか?」、「自分は彼らを差別したり蔑視せずに、同じ国民として受け入れるか?」。ただでさえ地域により、階層により、所得により、そして政治的指向により韓国の内部が分かれている現状況で、北朝鮮と北朝鮮の住民という存在まで瞬間的に増えれば、どんな状況が起こるのか、簡単には推し量れない。本当に統一が大当たりになるためには、南北が相互を受け入れられる準備を今からしなければならない。 それが逆説的に首脳会談が本当に必要な理由だ。