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[記者手帳] 日本の記者に会うのが恥ずかしい

登録:2015-06-26 22:59 修正:2015-06-27 18:17
ユン・ビョンセ外交部長官が22日、東京の総理官邸で安倍晋三首相との面談に先立ち、安倍首相の父、安倍晋太郎元外相の写真をプレゼントしている=外交部提供//ハンギョレ新聞社

 こんにちは、読者の皆さん。東京特派員キル・ユンヒョンです。このコーナーでは久しぶりですね。

 今週皆さんにお伝えしたい内容は、ここ2週間、韓日間に起きた一連の“事件”に対するそれなりの背景説明です。 こんな説明が本当に必要なのかと思ったりもしました。 しかし同期の土曜版ナム・ジョンヨン チーム長から「親しくなるフリをしておいて、やめるフリをしたのに、なぜそんなにたくさん意味付けをするのかという気がする」という話を聞いて、書くことにしました。彼の分析が別の見方をすれば現在の状況に対する非常に正確な評価であるためです。

 最近のファクトだけを挙げてみます。それなりにドラマチックだった2週間にわたる韓日間の攻防は、訪米を目前にした朴槿恵(パク・クネ)大統領が(結局は取り消しになります)11日付ワシントンポストとのインタビューで「慰安婦問題に相当な進展がある。交渉が大詰めの段階にきた」と話したことから始まります。

 一国の首脳である大統領の言葉は、大変な重みを持っています。その上、慰安婦問題の解決を要求して執権以来2年半、日本との首脳会談を事実上拒否してきた朴大統領の口からあんな話が出たので、政府当局者、両国の記者、慰安婦関連市民団体の関係者たちは緊張しました。 韓日間で8回もの局長級会談をしたので「本当に何かがあるのではないか」と考えたわけです。

 日本政府の反応は全く違いました。 安倍政権の幹部は、朴大統領の発言に対して「言うことは自由だが、いったい何を見て進展と言っているのか」という多少軽蔑混じりの反応を吐き出します。 この辺で事情が分かる人々は朴大統領の発言が“失言”だという事実に感づくのですが、各種の関係者たちは以後の数日間、私にまで「本当に何かがあるのか」という確認の電話をかけて来ました。

朴槿恵大統領が22日、ソウルのウェスティン朝鮮ホテルで駐韓日本大使館主催で開かれた「韓日国交正常化50周年記念レセプション」で別所浩郎・駐韓日本大使が韓国語で挨拶すると拍手している=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 大統領は「進展がある」と話しました。 それでは大統領に仕える外交当局はどのようにしなければならないでしょうか? 本当に何か進展があるような雰囲気を作り出さなければなりません。 外交部はユン・ビョンセ長官の21~22日の訪日有無について少し間を置いて17日に関連内容を発表します。 以後、外交長官会談が開かれた21日に韓日国交正常化50周年記念行事に朴大統領と安倍晋三日本首相が相互に参加するという内容が電撃発表されます。 これを通じて22日に両首脳の行事出席が実現し、韓日関係が本格的に改善の糸口を掴んだという雰囲気が演出されます。 もちろん韓日関係の改善を督促してきた米国の要求も最近の状況に相当な影響を及ぼしたことでしょう。 米国は記念行事が成功裏に終えられた後、「韓日関係がさらに広く深くなることを強く期待」すると拍手までしました。

 しかし、これは一種の“外交的錯視”に過ぎず、現在の韓日間の核心懸案である慰安婦問題を巡る両国の立場に本質的な変化はありません。 これを明確に表わしているのは韓日首脳会談に対するユン長官の発言です。 彼は、首脳会談の実現可否を尋ねる種々の質問に「まだ時期について話す段階ではない。条件作りがもう少し必要だ」と応えます。「条件作り」とは何でしょうか? これはやはり慰安婦問題の進展です。 そのために日本の外務省関係者は、韓国が今後は慰安婦問題を首脳会談の条件にしないのかという記者たちの質問に対して「そんなことはない。 変わったことは何もない」と話します。 巨大な演劇が一つ終わって、韓日双方が原点に戻ったということですね。

 今回のハプニングには全く意味がなかったのでしょうか? そうではありません。このような一連の過程を通じて、韓国国内では慰安婦問題解決と首脳会談を連係させる現在の立場に対する再検討が進むでしょう。しかし、韓国がこれまでの立場を手の平を返すように変えて両国首脳会談を行うことは負担が大きいと言えます。 そのために韓日外交長官は今回の会談で、「韓中日首脳会談を早く開こう」ということに合意します。 三国間で首脳会談をし終えれば、韓日両者間で首脳会談をすることも容易になります。 しかし中国は、自分たちは二回も日本との首脳会談をしておきながら、韓国に対しては「8月に出てくる安倍談話を見守ろう」として簡単には応じません。歴史問題を媒介に韓国をもう少し長くつかんでおきたい中国の計算でしょう。

キル・ユンヒョン東京特派員 //ハンギョレ新聞社

 第二に、韓国外交の核心懸案である慰安婦問題に対する朴大統領の理解水準が非常に低いという事実が満天下に現れました。これはセウォル号沈没事故が発生して7時間後に現れて、「生徒たちがライフジャケットを着たというのに、彼らを発見したり救助するのが難しいのか」という発言と共に朴槿恵政権5年の性格を象徴する語録として記録されるでしょう。恥ずかしいかって? それはそうです。 事実、同業の日本の記者たちに会えば、恥ずかしくて頭を上げられないことがあります。

キル・ユンヒョン東京特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/697759.html 韓国語原文入力:2015-06-26 20:11
訳J.S(2193字)

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