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[社説] 自殺相次ぐ障害者家庭の困窮を直視せよ

登録:2015-01-28 08:47 修正:2015-01-28 08:55

 暮しが苦しいという事を多くが口にしている世の中ではあるが、一日一日の生活が本当に苦しく死を選んだ彼女たちの悲惨さは言葉では言い表しがたい。知的障害1級の30代の姉の面倒をみていた大邱(テグ)のリュさん(28)が24日、自ら命を絶った。幼い時に両親を失ったリュさんはスーパーのアルバイトなど非正規雇用の仕事を転々とし、障害者施設にいる姉の面倒をみていた。「一緒に暮らしたい」という姉を13日、自分の借間に連れてきたという。遺書に書かれた「できる限りの事はしたけど疲れ果ててこうなった。私が死んでも姉はいい保護施設に入れてほしい」という文言に胸を打たれる。

 リュさん姉妹の悲劇はいろいろな面で昨年のソウル松坡区の「母娘三人家族」の件と似ている。保証金500万ウォン(約55万円)に家賃36万ウォン(約4万円)のワンルームで暮していたリュさんは2カ月分の家賃がたまっていたという。安定した職も持てないまま障害者の姉の面倒まで一人で支えねばならなかったのだから心身ともにいかに苦しかったか察せられる。その一方で最期に「臓器はすべて寄贈し、借間の保証金も社会に還元することを望む」と書き残していた。苦しい生活の中でも自尊心と品格を失わないように努めたリュさんに我々の社会は何の助けも差し出すことができなかった。リュさんは20日にも自殺を図ったというが、そのようなことがあっても関係当局の手が及ばなかったということは要観察世帯の調査体制がいまだに欠陥があることを示している。

 今回の件は非正規労働者、障害者福祉、社会セーフティーネットなどさまざまな問題がからまって現れた悲劇だ。どれか一つでもきっちり改善されてリュさんの苦痛を減らせていれば彼女の選択は変えられていただろう。しかし現実はその反対に向かっている。韓国の保健社会研究院が福祉要望把握のために毎年実施している韓国福祉パネル調査によると、2013年の低所得層が2014年に中産層以上に変わった人の割合は22.6%で過去最低だった。この比率は調査を始めた2006年以降で10%も落ちている。また2013年に日雇い労働だった人のうち83%は2014年も相変わらず日雇い労働であるほど雇用の形も固定化している。障害者の日常生活の世話をしている人は、低所得層の場合は兄弟や孫、一般家庭の場合は有料のホームヘルパーや祖父母が相対的に多かった。その上そのようなヘルパーが不足しているという答は低所得世帯で44.07%に達している。政府は「増税なき福祉」という空々しいスローガンばかり叫ぶのではなく、苦しんでいる国民の実情を直視すべきだ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015/01/27 18:36

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/675490.html 訳T.W(1231字)

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