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[社説] 三母子の悲劇は我々の悲しい現実だ

登録:2014-03-01 10:38 修正:2014-03-01 19:54

 26日夜、ソウル松坡区(ソンパグ)の半地下の部屋で、60代の母親と30代の二人の娘が練炭着火材の煙とともにこの世から旅立った。三人は白い封筒の表に遺書を書いていた。

"大家のおばさん…申し訳ありません。最後の家賃と共益費です。本当に申し訳ありません" と記し、その中に5万ウォン札14枚を残していた。死を目前にした状況なのに、周囲に迷惑をかけまいとする美しい真心をしのばせる。その善良さに一層胸が痛くなる。‘申し訳ない’と記しているが、本来申し訳ないのは私たちの方だ。

 我が国の自殺率は経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち最多であり、ヨーロッパの自殺率が低い国に比べれば10倍も高い。食べ物を心配し、具合が悪くても病院に行けず、高騰する家賃に悩まされた果てに命を絶つ人が年々増えているのだ。これは一個人の失敗と不幸が単に当事者だけに転嫁されているためだ。12年前に膀胱癌で父親が亡くなったことも、長女が糖尿と高血圧に苦しんでいたことも、母親が転んで右腕をケガしたことも、全て三人で担って行かねばならなかった。

 三人の死体が冷たくなっていた時、朴槿恵大統領は就任1周年をむかえて "経済改革で国民所得4万ドルの礎を築く" と宣言していた。大統領選挙の際に掲げた福祉公約と国民幸福時代というスローガンはもう跡形さえ見つけにくい。経済成長ですべての問題が解決できると判断するのは幻想だ。いやむしろ成長万能主義をひた走る経済が、社会を足もとから揺るがして捻る構造が、経済の襟首をつかんで揺がす悪循環がそこかしこに現れている。あえてこのような経済的接近でなくとも、助けてという一言も言えずにひっそりと練炭着火材に火をつける隣人が存在する限り、私たちは幸せになりえるはずはない。

 三人の母娘の悲劇で、もう一つはっきりすべき点は、あまつさえ福祉制度すらまともに活用されずにいるという点だ。上の娘さんの場合、準生活貧困層の申請をすれば最小限の医療給付は受けられただろう。公務員が貧困層の暮らし向きまで全て把握して、代理申請することまでは望まない。 ただし現在の制度でどんな恩恵を受けられるかという程度は政府は十分に周知すべきだった。

 それなのに政府は不正受給者だけを目を皿のようにして探しているだけで、福祉の死角はひたすら無視しているのが現実だ。一人の人間がこの世に生まれて、ひもじくならず、病気の治療を受けられ、身を横たえられる最小限の居住空間を確保できることは国の構成員としての権利だ。国家としては当然しなければならない義務だ。国は課された義務に一日も早く気付くことを望みたい。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/626296.html 韓国語原文入力:2014/02/28 18:49
訳T.W(1205字)

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