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[社説] 格好だけの謝罪と、過去を嘆くだけの大統領

登録:2014-04-30 00:09 修正:2014-04-30 06:58

 朴槿恵大統領がセウォル号の惨事から14日ぶりに国民に対する謝罪をし、国家安全処新設などの対策を示した。しかし形は謝罪でも内容を見れば謝罪と表現することすらきまりが悪い。大統領は予想通り国民に対する直接謝罪の代わりに閣僚会議を通じた間接謝罪の方法を選んだ。大統領府の関係者の間では事故が収拾されたら朴大統領は再び正式に国民向けの謝罪をする手段を検討しているという話も出ているが、そのような発想自体からして理解し難い。未曾有の国家的大惨事について大統領は十回でも二十回でも国民に対して謝ってしかるべきではないか。罪悪感や責任意識という言葉は、朴大統領とはまだかけ離れているように見える。

 朴大統領が事故の原因を "積もりつもった旧弊" のせいにしたくだりになると、一層あっけにとられる。朴大統領が‘申し訳ない’と話したことも、実際には現政権の失策に対する反省ではなく "旧弊を正せなくて" という理由からであった。朴大統領は責任を‘自分’ではなく、全て過去のせいにしているわけだ。

 朴大統領に訊ねたい。船を目の前ではっきりと見ながら、まともに初動対応できず、多くの貴い生命を失ったのは旧弊のせいなのか。コントロールタワーの不在で現時点でも政府が右往左往していることが過去のせいなのか。政府は国政課題の推進状況評価において、災難管理システムについて‘優秀’判定をして自ら称えたことは旧弊と矛盾しないのか。朴大統領は旧弊を嘆く前に現政権の総合的な無能ぶりと無責任について深く反省して謝るべきであった。

 過去の積弊を取り除くと大口をたたく前に、大統領府をはじめとする現政権内に潜んでいる害から取り除くことを肝に銘じてこそ正しい。朴大統領の謝罪から何の重みも伝わってこないのも大統領自身のこのようなとんでもない現実認識のためだ。

 総理室直属で国家安全処を新設するというのも、病の原因がはっきりする前にまず処方せんを出したようなものだ。アメリカは9・11テロの後、超党派的特別調査委員会を作って20ヶ月間、事件に関連するすべての事実関係と情況、原因、対策を包括する総合報告書を作った。アメリカ政府が用意した各種の事後対策もこの委員会が出した41種類の勧告事項に基づいたものだった。今政府が優先的に行うべきことは今回の事故の根源と原因、時間帯別の措置の問題点、部署間の混線の原因などを広範囲かつ几帳面に診断することだ。このような過程は飛び越えたまま、むやみに新しい部署を一つ設ければ安全な国になると考えることこそ典型的な場当たり的な処方で、スタンドプレー的な行政だ。

 朴大統領は‘国家改造’を口にしたが、このような形で国家を改造してはならない。このような安易な現実認識や責任回避的な取り繕い策こそが清算すべき過去の負の遺産だ。国家改造をまともに始めるには、まず国政運営に臨む朴大統領の姿勢から大きく変わらなければならない。まさに‘大統領の改造’だ。朴大統領はこの核心部分から相変らず目をそらしている。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/635009.html 韓国語原文入力:2014/04/29 18:47
訳T.W(1367字)

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