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[特派員コラム]‘普通国家 日本’とはどのように向き合うべきか? /チョン・ナムグ

登録:2013-09-27 09:59 修正:2013-09-28 13:50
チョン・ナムグ東京特派員

乙巳年(1905年)の勒約が締結された翌年の5月、崔益鉉(チェ・イクヒョン)が全北(チョンブク)で抗日義兵を起こした。 後日、初代大法院長(訳注:最高裁長官に相当)を務めるキム・ビョンノはその時二十才であったが、砲手5~6人を率いて淳昌(スンチャン)で義兵隊に合流した時をこのように回顧した。

"砲兵が6~7人しかおらず、その他の70~80人は雅冠博帯(高い冠と広いたすきをかけた官吏の姿)ある儒者らだった。"

この文を初めて読んで笑うべきか泣くべきか分からなかったことを思い出す。 100年余りが過ぎた今、私たちは変わっただろうか。 国際政治に対して少しは現実的な思考をするようになったか。

 19世紀後半の日本を連想させることは無理だが、安倍晋三総理が率いる日本政府の最近の動きはかなり心配だ。 核弾頭の製造に使えるプルトニウムを30t以上保有した国、若干の技術だけを補強すればいつでも大陸間弾道ミサイル(ICBM)を飛ばせる国、世界3位の経済力を持ち、英国やフランスより多くの防衛予算を使う国、そのような日本が‘平和主義’の鎖を外しているためだ。

 来年になれば麻生太郎副総理が話した‘ナチ手法の静かな憲法改正’はなされている可能性が大きい。 憲法9条を変える事は難しいが、日本政府は憲法解釈を変えて集団的自衛権を行使できると明らかにするだろう。 自衛隊という事実上の軍隊を持つ日本が、ついに戦争にも参加できる国になる。

 日本のこのような動きは東アジア安保の負担を減らそうとする米国の要請と承認の下になされている。 日本政府はこれまでの‘消極的平和主義’から‘積極的平和主義’に切り替えることだと主張しているが、それは平和を守るには戦争を準備しろという話のように聞こえるのが事実だ。 最も憂慮すべきは過去の侵略戦争に対する反省と清算を正しくしないまま、日本がその道に向かっているという点だ。

 残念なことに韓国では即興的な反応が多い。 日本の終戦記念日に靖国神社に行って戒めるという議員が出てきたり、今度は国内で旭日旗を使えば処罰する法案を発議するという動きがある。 社旗として旭日旗図案を使っている朝日新聞社ソウル支局は当惑するだろう。 日本帝国主義の植民統治、および侵略戦争などを否定する個人または団体を処罰する法案を作ろうという議員もいる。 そうするならば相当数の日本閣僚の入国からして阻まなければならないだろう。 数日前、靖国神社に火を放とうとしたある若者と思考の深さにおいてほとんど差がなく見える。 雅冠博帯して義兵に駆け込んだ儒者の姿が重なる。

 将来に危険がないと大言壮語はできないが、今日本は‘軍国主義の道’よりは‘普通国家へ進む道’を歩んでいる。 それは歴史認識に関連しているが、同時に韓国の安保にも関連している。 私たちは日本の動きを阻む外交的テコをほとんど持っていない。 至急必要なことは、日本の変化が韓半島の平和、大韓民国の安保にどのような影響を及ぼすことになるのかを先ず真剣に分析することだ。 その土台の上で普通国家になろうとしている日本とどのように向き合うのか、社会的合意を創り出し、必要な対処をしなければならない。 韓国政府や国会が歴史認識問題を前面に掲げて日本との対決の先鋒隊として出るような今の姿は責任ある姿勢ではない。

 一部の日本の指導者に伺える軍国主義的思考は明らかに警戒し牽制しなければならない。 日本の中にもそれを憂慮し牽制する人々が多い。 韓国政府や国会は、韓国市民社会の平和勢力が彼らと力を合わせられるよう道を作らなければならない。 日本の暴走を阻めるのは対決主義ではなく平和主義であることを忘れてはならない。

チョン・ナムグ東京特派員 jeje@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/604721.html 韓国語原文入力:2013/09/26 19:06
訳J.S(1708字)

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