米国のドナルド・トランプ大統領による最後通告の期限までの12時間は、「核攻撃」までもが懸念され、息の詰まる緊張の連続だった。終盤の熾烈(しれつ)な水面下での交渉が、かろうじて破局を防いだ。
ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、7日午前8時6分(米東部時間)にトランプ大統領がトゥルース・ソーシャルに投稿した「今夜、ひとつの文明全体が消える」という脅しは、関係諸国を急速に凍りつかせた。この発言の直前には、米軍による占領の可能性が取り沙汰されていたイランの主要原油輸出拠点カーグ島の50の軍事施設が攻撃されていた。約30分後、イランはこの投稿を問題視し、エジプトに対し「米国の交渉団との直接的なコミュニケーション窓口を遮断する」と通告した。
ハンガリーを訪問中の米国のJ・D・バンス副大統領は記者会見で、「イランは、米国がこれまで使用を決定したことのない手段も有していることを知るべきだ」として、「イランが行いを変えなければ、その手段を実際に使用するだろう」と警告した。彼らの威嚇の強まりに対し、「核兵器を使用しようとしているのではないか」という懸念が報道やSNSを中心として広がった。最終的に、ホワイトハウスの迅速対応チームが「副大統領の発言の中にそれ(核兵器)を示唆する言葉はまったくない」として事態の収拾にあたった。
イスラエルは、合意が実現しなかった場合、このかん攻撃していなかったイランのエネルギー・電力以外の他国のインフラを壊滅させる前例のない機会になると期待していたという。イスラエルの「チャンネル12」が報じた。イランの高官も、周辺国の石油インフラが報復対象になるだろうと指摘しつつ、「トランプは決して抜け出せないブラックホールを用意した。数日以内に原油価格が1バレル当たり200ドルにまで高騰するのを見ることになるだろう」と警告していた。イラン全土の老若男女の市民たちは、トランプが壊滅させるとした各地の発電所や主な橋に集まり、「人間の鎖」を作った。
最後通告の期限の5時間前の午後3時、期限が延期される可能性があるという最初のシグナルが発せられた。パキスタンのシャバズ・シャリフ首相がソーシャルメディアのXで「外交が円滑に進むよう、トランプ大統領に期限を2週間延長することを切に要請する」と述べたのだ。イランに対しては「イランの兄弟たちにはホルムズ海峡を相応する2週にわたり、善意の表れとして開放してくれるよう、心から要請する」と訴えた。
トランプ大統領はこの日午後、主要参謀と共にホワイトハウスの執務室にこもり、電話を受け、周囲の意見を聞いていたとウォール・ストリート・ジャーナルが報じた。パキスタンは必死に両国を説得し、エジプトやトルコなどの中東諸国も側面から支援した。最終的に、イランに対するレバレッジを持つ中国がイランに柔軟な対応と緊張緩和を求めたことで、急速に停戦合意に至った。
最後通告の期限が約1時間30分後に迫った午後6時32分、トランプ大統領はトゥルース・ソーシャルで2週間の停戦を発表した。30分あまりして、イランの最高国家安全保障会議とアッバス・アラグチ外相も、攻撃を停止しホルムズ海峡を開放するとの声明を発表し、これに応じた。
しかし、トランプ大統領が2週間の停戦を発表した直後にも、イラン軍は約2時間にわたってイスラエルと湾岸諸国をミサイルで攻撃。イランは戦争中に各部門に攻撃の権限を分散させたため、コミュニケーションが円滑でなかった可能性が指摘されている。イスラエルもイランへの攻撃をしばらく継続。トランプ大統領の停戦発表の2時間後、イラン国営放送はイラン最高指導者モジタバ・ハメネイ師の声明を発表し、「これは戦争の終わりではないが、すべての軍は最高指導者の命令に従って攻撃を停止せよ」と伝えた。