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【社説】セウォル号惨事から12年、忘れないことが安全につながる

登録:2026-04-16 00:25 修正:2026-04-16 09:43
セウォル号惨事から12年目の日が2日後に迫る14日、ソウル市議会前の追悼スペースに黄色いリボンが置かれている/聯合ニュース

 セウォル号惨事から12年となる4月16日を前に、全羅南道木浦(モッポ)新港などの追悼施設には多くの市民が訪れている。惨事の犠牲者とその教訓を忘れないという誓いだ。市民は、セウォル号惨事の根本原因であった「収益が先で安全は後回し」という社会から脱却することを切に願っている。しかし、韓国社会が果たしてどれほど安全になったかと問われれば、はっきりと安全になったとは言えないのが現実だ。

 14日の政府の発表によると、今年第1四半期の労働災害による死者の数は113人で、2022年の統計開始以降で最少を記録したという。職場での死亡事故が数値上減少したのは幸いだ。これは、政府と地方自治体が小規模な事業所に対する指導と監督を強化した結果だという。しかし、「安全不感症」による人災はあいかわらず起きている。3月20日に14人の労働者を死に追いやった大田(テジョン)の製造企業「安全工業」の火災が代表的な例だ。代表をはじめとする同社の経営陣は、工場内に火災リスクがあふれているという労働者の訴えを無視してきた。目先の利益にとらわれ、労働者の安全をおろそかにした結果だ。今回の事故に似た2年前の「アリセル惨事」の経験が、まったく教訓化されていなかった。最近では、全羅南道莞島(ワンド)の水産物の冷凍倉庫で、床の塗装の除去に火器を使用した際に火災が発生し、消火にあたった2人の消防官が命を落とした。安全守則上は2人1組が原則だが、施工業者の代表は作業を指示した後に席を外していたという。基本さえ守っていれば防げる人災が繰り返されている。このような社会は先進国とは呼べないだろう。

 セウォル号惨事の苦しみは今なお「現在進行形」だ。中央大学のイ・ウォニョン教授チームの研究によると、生存者と遺族は精神疾患だけでなく、がんなどの様々な疾病の発生頻度が一般市民の1.13~1.48倍にのぼる。過去10年あまりの憤りや悲しみ、挫折感が全身に積もり積もったせいだ。メンタルヘルスの問題が解決されず、身体の疾患へとつながってしまったのだ。しかし、国の支援は遺族の苦しみに追いついていない。「セウォル号被害支援法」の医療支援金の支給期限は2029年。研究チームは、「梨泰院(イテウォン)惨事」などの別の社会的災害でも同様の苦しみが繰り返される恐れが高いと強調する。被害者支援制度は単なる費用の補填にとどまらず、統合的な健康管理体制へと一日も早く転換されるべきだ。惨事を忘れず、遺族の苦しみに向き合ってこそ、今より安全な韓国社会が作れるはずだ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1254199.html韓国語原文入力:2026-04-14 18:28
訳D.K

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