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バルセロナの博物館で、ガイドも観客も裸で作品鑑賞…作品と物我一体? 

登録:2023-11-01 07:54 修正:2023-11-01 10:25
スペイン・バルセロナのある博物館で特別展示会開催
28日(現地時間)、スペイン・バルセロナ州のカタルーニャ考古学博物館で開かれたある展示会で、観客が裸で参加して作品を鑑賞している=カタルーニャ・ヌーディストの会のフェイスブックよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 人間の裸は古くから芸術の対象だ。わいせつと芸術の境界をめぐる論議は歴史的に存在したが、いまでは博物館でヌードを鑑賞することは自然な光景だ。そうしたなか、作品と観客のこのような通念的な関係を覆す試みがスペインのある博物館でなされた。観客が服を着てヌード作品を鑑賞する代わりに、観客も裸で作品を見るようにしたのだ。

 スペインのバルセロナ州にあるカタルーニャ考古学博物館は28日(現地時間)、観客が服を脱いで展示物を鑑賞できる特別展示会を開催した。ロイター通信が29日に報じた。博物館はカタルーニャ地域のヌーディストの会と協力して1回限りの行事を企画した。

 今回の展示は、1972年にイタリアのリアーチェで発掘された裸体のギリシャ戦士のブロンズ像2点を近接撮影した大型写真を通じて、人体の解剖学的な美しさを感じられるように構成された。展示の趣旨にふさわしい特別なツアーを企画したというのが、博物館側の説明だ。このツアーのガイドのエドガルドさんは「一般的なガイド付きのツアーではなく、より多彩な行事を企画したかった」として、「時代を問わず、全人類と私たちが持つ共通点は、結局のところは私たちの体だ。写真のなかの彫刻像と同じ姿で他の人体に囲まれれば、作品を完全に感じて鑑賞できる機会になると考えた」と説明した。

28日(現地時間)、スペイン・バルセロナ州にあるカタルーニャ考古学博物館で開かれたある展示会で、観客が裸で参加して作品を鑑賞している=ロイター通信の動画よりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 博物館は、28日午前9時から1時間30分にわたり特別展示会が開催される間、服を着た一般の観客は受け入れなかった。特別展示会には10人ほどの少数の観客だけが裸体で入場し、ガイドの説明とともに作品を鑑賞した。ガイドも観客と同じように服を着なかった。チケット価格は7ユーロ(約1100円)。

 裸体で作品を鑑賞するようにした展示会は、今回が初めてではない。博物館はヌードに関する作品を展示する際、裸体観覧会を主催してきた。ニューヨーク・タイムズによると、2016年にカナダのモントリオールで開かれた写真作家のロバート・メイプルソープの展示や、2012年にオーストリアのウィーンのレオポルド博物館で開かれた男性ヌード画の展示会でも裸体ツアーが行われた。

 作品に対する理解度を高めて鑑賞の経験に深さを加えるため、裸体観覧を活用するケースもあった。2011年にオーストラリアのシドニー現代美術館(MCA)で開かれたスチュアート・リングホルトという作家の展示会では、作家が裸体で観客を導いて直接ギャラリーを回り、作品の解説を行ったことがある。観客も同様に服を全部脱いだ。このツアーには成人だけが参加可能だった。当時、展示について美術館は「作品を妨害されることなく観覧する自由を保障するため、展示空間の不要な装飾をすべて取り除いたように、観客が身に着ける服も妨害の要素になる可能性があるため、ヌードが解決策になる」と説明した。作家のリングホルト氏も「幾何学的な抽象化やミニマリズム作品の場合、裸体で鑑賞することが役に立つということを発見した」とし、「裸体の時、私たちは色感を見るのでなく体験する」と語った。

 2018年には、フランスのパリにあるモダンアート博物館のパレ・ド・トーキョーでも、アルジェリア出身のフランス人作家ニール・ベルーファの作品を裸体で観覧する展示会が開かれた。当時この展示会は、フランス国内でも大きな話題になった。展示企画に関与したある博物館関係者は「服を脱ぐ行為を通じて、観客は自身のアイデンティティをしばし手放し、作品を開かれた心で受け入れてほしい」と述べたと、ニューヨーク・タイムズが報じた。

ナム・ジヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1114327.html韓国語原文入力:2023-10-31 18:12
訳M.S

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